読みながらたくさん書いて考えた本〜楠木建『好きなようにしてください』

素晴らしいタイトル。勇気が出るタイトル。書名でやられた。
前回一度ブログに書いた↓
akizukid.hatenablog.com

今回は、読了して書いている。読み終わるまで、1週間ほどかかった。時間がかかったのは、いちいちノートに言葉を書きながら読んだから。
ノートに書いたと言っても、抜書き、引用したわけじゃない。論文を書くわけじゃない。自分なりの言葉で、楠木さんの言葉を書いた。
書くことは考えることに繋がる。書きながら考えた。たくさん書いたので、ノートが数ページにわたってぎっしり言葉で埋まった。ノートは、学生時代に使いかけて空白がたくさん残っているA5サイズの手帳を使っている。それに行間を空けたりせずにびっしり言葉で埋めている。イメージの貼り込みもしている。シールや切り抜いた画像など。その隙間を言葉で埋める。アートを意識しているのではなく、その方が思考できるから。他人は読みにくいだろう。

それらを読み返すことはあまりない。書いた時点で考えて、自分の中に何かしらインストールされただろうから、それでいい。すべて忘れても構わない。なかなかすべて忘れるのは難しいので、何かしら残る、そして生きると思う。
ほとんどの言葉が、自分の仕事を再構築するのに機能した。そして、今の自分の今の仕事でいいと肯定された。肯定したのは自分。偉大なる肯定。ニーチェの運命愛のような気分だ。
文字通り「好きなように」してきた結果が、42歳で今の仕事の今のポジションにいる。それは、自分の性に合っていたのだろう。これからも、やむにやまれぬ心(『八重の桜』)が湧いてこない限りは、この仕事を淡々と続ける。そう腹を括った。
やむにやまれぬ心は、情熱とも、狂気とも言っていい。幕末の長州藩の「狂気」、その情熱。ずっと自分は「情熱大陸」に取材されるような情熱が無いことを苦にしていたが、そんなこと気にしなくていいとわかった。情熱は狂気と裏表。無いなら無いでいい。世の中に流通している言葉の多くは、情熱をもった人がある種の成功をおさめた結果、書籍などで流通しているものなので、偏っている。それに惑わされることはない。
そうここでも楠木さんの決め台詞「好きなようにしてください」なのだ。


ライフネット生命岩瀬大輔さんの言葉。やむにやまれぬ心が無ければ、現状維持で流れに流されていい。無理に転職したり、起業したり、カフェを開いたりする必要は無い。
本書には、小野光治さんの言葉で「余計なことを考えなくていいサラリーマンが性に合っている」という言葉があったが、自分もその通りだと思った。
仕事は勝手に降ってくるし、飽きない。異動による外発的な変化もある。自分は今の目の間の課題に集中すればいい。
今の仕事とポジションが天職だと思った。

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