白尾直子さんは、ドクターなお♪としてファミリーマネジメントジャーナルfmjに参加されています。そのなお♪さんが本を出版されました。
Q&A形式というのは書く側には大変な形式だと思います。このような本では、読者である子どもの親は「答え」を求めているからです。医療に関しては答えを出すのは難しいですよね。しかも、子どもの心の問題は更に答えを出すのは難しそうです。
書名に「コツ」とあるように一種のライフハック本と言えそうです。
読む側のコツとしては、知識として頭に入れつつ、子どもに対する実践としては無意識でやることだと思います。それは相手投手のデータを頭に入れながら、バッターボックスに入ったら来た球を打つというあり方です。
シュテフィ・グラフはいちいち考えながらプレーしていない、ということを以前、茂木健一郎さんも言っていた記憶があります。
本の知識は忘れて、目の前の子どもをよく見ることだと思います。それでも読んだことは自ずと態度に現れるはずです。
そして、子育てに親の心が行き詰まった時には再度、本を読み返せばいいと思います。
以下、レバレッジメモです。あくまで私が読書しながらメモしたことです。厳密な引用ではありませんので、内容については本をあたってもらった方が確実です。自分の考えも区別せずにメモしています。
レバレッジメモ
子どもが「自分で生きていく力」を身につけるために親ができること
→将来の子どもの自立に向けて親ができること
→私は既に「子離れ」を想定しています
基本=子どもからの働きかけに「応答」すること
子どもに「自己肯定感」が育っているか?
→自分の経験からすると、何か一つのことに自信を持てることで「自己肯定感」は大きく増大します。私の場合は、それが中学時代の軟式庭球でした。大会で優勝することで得た「自己肯定感」は友人関係やその他の面でも大きくよい方向に働きました。
時間はかかるかもしれませんが、子どもは何歳でも受け入れてくれるはず。
いつからでも遅くはない。「いつやるの?今でしょ」
イライラを子どもに向けるのはよくない。
- 深呼吸する
- 声の大きさや口調を自分でモニターする
- 子どもの前を一旦離れる
その時々の感情で一貫性のない態度をとるのもよくない
→ダブルバインド
三歳児神話
1960年代に広まった古い考え方
→大事なのは、母親そのものではなく母親的な機能ではないか?父親だって保育士だって構わないのでは?
叱るよりはほめた方がよさそう。
WHO『自殺対策リーフレット』
- 幼いうちに肯定的な自己イメージを持てるような楽しい経験
- 子どもにプレッシャーをかけすぎないこと
- 子ども自身が「自分は愛されている」と感じられるようにすること
- (きちんと伝わることが大事)
- あるがままの子どもを特別な存在として大切にすること
ペアレントトレーニング(1974年)
- してほしい行動
- してほしくない行動
- 許しがたい行動
どうほめるか?
- 言葉をかける(社会的強化子)
- スキンシップをする(社会的強化子)
- 品物を与える(物質的強化子)
- 飲食物を与える(物質的強化子)
「許しがたい行動」のうち、緊急性があって生命にかかわるようなことについては、何が何でも制止する。
「してほしくない行動」は無視する。
指示や警告をするときは両親の片方だけで行うのがいい
子どもを追いつめないように
左の上側頭回のウェルニッケ野
認知行動療法の有用性
- 子どもの行動は親の行動を変えることによって変えられる可能性がある
- 『七つの習慣』のインサイド・アウト
- 親の行動は、認知・気分・身体反応を変えることで変化させることができる
コーピング行動
その他の家族の問題が影響している場合もある
テレビそのものが悪いというより、受動的にテレビを視聴する時間が長くなることでその他の経験をする時間が削られることが問題なのではないか。
自分は子どもにとって「話を聞きたいと思われる存在」だろうか?
行動が遅い子ども←よく観察して具体的に対処する
苦手があってもオーケー→自己肯定感が大事
仮に途中で習い事をやめることになったとしても、それまでが無駄になるわけではない。
元気がない→ほめてねぎらう
がんばれ、は逆効果かもしれない
自分が受けた教育を肯定したい真理
→これは体罰の連鎖などにも関係しそう
→みんな自分の歴史を否定されたくない
選択性緘黙
子どもが嘘をついているように思える時でも問い詰めない。
→正面から怒るのは、危険や犯罪につながる行動など絶対にやってはいけないことをやった場合のみでよさそうです。
「ブロークンレコードテクニック」穏やかな口調で淡々と繰り返す
子どもの反抗態度に感情的にならない
→これはすぐに採用できます。よく自分で「非人情、非人情」(夏目漱石『草枕』)と言い聞かせていますが、通じている感じがします。
いじめ
学校を休まない=平気、ではない
限界までがんばってしまう子どももいる
真正面から立ち向かうことだけが解決法ではない
勇気ある撤退も選択肢の一つ
実際には子どもの状況に応じた臨機応変な対応が必要になる
児童精神科医は希少な存在
認定医は全国に200名程度
ウィニコット「ほどよい母親」Good enough mother
もちろん、good enough father
本棚に立てておいて読み返す
本棚に立てておいて読み返すといい本だと感じました。
fmjのメンバーとしてひいき目はありそうですが、それを割り引いても子育ての参考になる良書です。
特別に目をひくような極端な主張、偏った思想が無いところもよいと思います。
児童精神科医ママの子どもの心を育てるコツBOOK -子どもも親も笑顔が増える! -
- 作者: 白尾直子,モリナオミ
- 出版社/メーカー: メタモル出版
- 発売日: 2013/07/23
- メディア: 単行本
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