親業で鬱を脱構築する~近藤康太郎『三行で撃つ』

親だけではない、夫としても、仕事でも、役に立っていない感が強くて、日々、つらい。
Amazon Music の「ポストロック」というステーション
上も下も「役に立たない」
不眠もつらい。
寝不足のため、昼休みは無印良品のネックピローが欠かせない。
パワーナップと言えばライフハック感があってかっこよく聞こえるが、先日は10分ほど寝過ごした。
みんなそっとしておいてくれたが、大丈夫か、自分。
寝不足は、役に立たない感だけではなく、運動不足や加齢が要因だと思う。
歩いたり、自転車通勤で坂を上ったり(ただし、電動アシスト付き自転車)しているが、足りないか。
親としても、やれることをやっているつもりだが、子どもたちのモチベーションは上がらず、反発を招いて逆効果になっている。
心のスキマを埋めるためにスプラトゥーン3をやるが、昇格戦に負け続けてストレスを増している。
48歳にもなるとキャラコンもなかなか上達しない。
スプラトゥーンのフェスをする中で、アキロゼことアキ・ローゼンタールを発見した。
あの画にはそれほど興味が無い。
アキロゼが良いのは声だと思っている。
スプラトゥーンの実況を声だけ聴いたりしている。
48歳にしてバーチャルのアイドルが癒しになるとは。
それでいいのか、自分。
今のところ、スプラトゥーンのゲーム実況だけ見ている。

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そういう心象風景の中で近藤康太郎さんの『三行で撃つ』に出会った。
タイミングが良かった。
蝉の声のようにうるさく心に染み入る。
インストールされた。
色々と「接続」した。
「接続」は自分にとってのキーワードである。

非人情

おそらく近藤さんは、夏目漱石草枕』を読んでいる。
「非人情」に接続した。

うたにするとき、悲しみの涙は、自分から遊離する。自分は泣くことができる人間だという、うれしさだけのうたになる。p297

これと同じ趣旨の言葉が『草枕』のどこかにある(要確認)。
私は『草枕』で卒業論文修士論文を書いた。
今思い出すだけでも、恥ずかしい。
コンセプトは良かったと思っているが、方法に厚みが足りない。
汗を書かずに書いたので薄っぺらい。
大学の図書館から資料を収集したり、もっと足を使って書くべきだった。
近藤さんのように少なくとも3回書き直す。
当時、本書を読むことができたら良かった。
冒頭の「役に立たない感」もこうやってブログとして文章化することで、自分はブログを書いて公開することができる人間だと底支えできる。

認識の生

また、ウィトゲンシュタインも読まれている。
「認識の生」に接続した。
このくだらない世の中を良く生きるには、ウィトゲンシュタインのように認識することが必要だ。

世界は愚劣で、人生は生きるに値しない。p279

福田和也さんを思い出した。

この世の如何なる酸鼻であろうと許容し、愚劣で、無意味な生存を肯定する。此岸を「彼方」として生きる明確な意志さえあれば、人生は「甘美」な奇跡で満ち溢れる。(福田和也『甘美な人生』)

この引用は、以前、このブログで引用していたので、すぐに見つけることができた。
ブログは自分の記憶のデータベースとしても有用だ。
認識すること。
自分の「役に立たない感」を認識し、それを肯定し、甘美な奇跡に賭けること。
ウィトゲンシュタインの生き方と死に際の言葉は、本当にかっこいい。

4-hours witing

村上春樹がチャンドラーの手紙を引用した文章(確か『ロング・グッドバイ』の訳者あとがき)に触発されて、以前から「4-hours writing」を主張している。
一日4時間、机に向かって、書く。
これが実践できていない。
『三行で撃つ』を読むと、この方法にも「接続」した。

それはともかく、時間帯はいつでもいい、都合のつく時間を、とにかく決めるんです。○時から○時まで、どこそこにいて、原稿を書くと決める。その間は、ドアを閉める。部屋に閉じこもり、たとえ一行も書けなくても、とにかく机に座って、何かを書こうとする。p248

今それを実践している。
自分の書斎が無くても、台所のダイニングテーブルにSurface Laptop 3を持ち出して、イヤホンしてmogwai , Xmas Stepsを永遠の反復で聴きながら、ひたすら書く。
これは近藤さんが言う初稿(第一稿)だが、そのままブログとして公開する。
公開して、しばらくして読み返す。
そこで修正をしていく。
過去記事もどんどん変えていく。
今までに書き溜めた膨大な記事があり、それらを少しずつ読み、変えていく。
そうやって鬱やエロを蹴散らしていくのだ。
『三行で撃つ』は、そういう勇気が出る本だった。
物を書く人には必読書である。
下記の他の本も、生きるための必読書だと思いますので、リンクから購入してくれると少し私の小遣いが増えます。