ニーチェ『道徳の系譜学』を読んだ。
ニーチェは僕のスーパースターだ。
本書は、ニーチェによる Twitter の分析のようだ。Twitter にはニーチェが描くルサンチマンに充ち満ちている。そこがおもしろい。
禁欲主義は退廃だ。怒りや嫉みといったネガティブな感情もそのままに味わうこと。否定する必要はない。しかし、わざわざその感情を増幅する必要もない。ネガティブな感情を日記に書いて文章化したり、Twitter にツイートしたりすると、感情が増幅してしまうから難しい。フラットに、しかし、全身で感情を経験すること。
善悪の価値判断について。
いわゆる「善人」や「道徳」の危険性について。
今では誰もが簡単に口にできることをニーチェはやった。価値の転倒だ。しばらくはニーチェの遺産で生きていける。
本書の序で、ニーチェは牛になることが必要だと書いている。読んだことを反芻するのだ。Kindle版で読んだので、ハイライト箇所を中心に読み返す。読み返しながら、こうしてブログにして公開する。一石二鳥となる。
ユダヤ人が、善悪を転倒した、ということかな。恨みの感情。
日本人は、恨みという感情が弱い、ということを言っていたのは坂口安吾だったか。忘れっぽい。忘却力という力はある。一方、その力が無い民族もいる。
ルサンチマンという言葉も一般的になった。
忘れろ。とにかく忘れてしまえ。ハイボール350ml、アル中にならない程度のお酒で忘れてしまおうホトトギス。そういう戦略。
たとえば仕事の様々な問題は、ノートや Evernote にメモして、忘れること。それでいい。そうやって一日一日を終わらせる。
翌日はまた様々な問題がそそがれるのだから、器としての自分を忘却によって空っぽの状態にしておくのが肝要である。
ニーチェからは、そういったことを学んだ。生理学として実践的。
「抵抗することを諦めた勇敢な宿命観」1601 の事例でロシア人を挙げられている。ナポレオンに勝利したロシアという感じだ。抵抗することを諦めると動かなくなる。体力を温存できるのだ。そして、相手が自滅するのをひたすら待つ。あるいは、千載一遇のチャンスに賭ける。戦略的忍耐。ノーベル平和賞をもらったオバマ大統領は世界平和にことごとく失敗したが、ロシアはナポレオンを撃退した。すべて結果論で評価される。厳しいね。
ニーチェはおもしろい。そして、精神衛生上、機能する。次は抜群におもしろくて笑える『この人を見よ』を再読しようと思う。
- 作者: ニーチェ
- 出版社/メーカー: 光文社
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