ニーチェの読書術〜本を読んではいけない時期がある

ニーチェ『この人を見よ』はめっぽうおもしろい。
色々な論点もある。
今回は読書について。

読書はニーチェにとって「休養」となる。

読書とは私を、ほかでもない、私一流の本気から休養させてくれるものなのだ。仕事に熱心に没頭している時間に、私は手許に本を置かない。つまり、自分の傍で誰かに喋ったり考えたりさせないように、私は気を付けている。読書とは誰かが自分の傍で喋ったり考えたりすることではないだろうか。

自分が何かクリエイティブな仕事をしているときに、読書はしない方がいい。
他人のおしゃべりの横ではまともな思考はできないということだ。
この点、多読あるいは自分がよくやっている「並行読書術」は問題があるかも。
あまりに多くの他人にしゃべらせることになるからだ。
そんな状態では、自分の思考はできない。

ニーチェは「懐妊」という言葉を使っている。
何か生産的な仕事をして、成果が生まれそうな時期のことだ。
そんな時期は、神経が緊張状態にあり、外部からの刺激に対して感受性が強くなっている。
だから、刺激そのものをできる限り避けなくてはいけないのだ。
今の自分に必要のない思想が壁を越えて侵入してくるのを許してはいけない。
読書というのは、懐妊時にはやってはいけないというわけだ。

今は、読書すべき時期か。
そういう意識をもってみるといいかもしれない。

この人を見よ (新潮文庫)

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