シリアルポップな結婚~『困難な結婚』その2

2本目。
内田樹さんの『困難な結婚』を読んでいる。読みながら色々と考えている。

電撃的に恋に落ちる、要するに一目惚れについて、そういう暗闇でジャンプするような行為が人類を進歩させてきた、という感じはあると思う。最初に河豚を食べて死んだ人がいたように、最初に言語や肌の色が違う人と電撃的に恋に落ちて混血が進んだということがあるのだろう。ホモ・サピエンスにも、ネアンデルタール人の血が入っているんじゃなかったか。

「ウチダからの祝辞①」がすばらしい。ジブン手帳mini の IDEA に引用した言葉↓

どうしていいかわからない状況に立たされたときに、適切にふるまうことができる能力

どのような状況に投じられても、まるでその状況を自分が進んで作り出し、選びとったものであるかのように、堂々と、余裕をもってふるまうことができる境地

合気道が目指すところに深く共感する。困難な状況でも、手元の資源を活用してなんとかすること。マッチョな思考。状況を自らの選択として引き受ける、というのは、ニーチェの「運命愛」にも通じると思った。内田さんの思想家としてのベースを知らないが。

人間は、自分の判断が正しかったと証明するためには不幸になっても構わないと思う生き物、というのもなるほどと思った。そこに「呪い」がある。逃げ恥では、百合さんが「呪い」という言葉を使っていた。福島の原発事故以降に反原発をやっている人の中にも、そういう人がいる。人の心の恐ろしい性質である。

転機というのは、不意に電撃的にやってくる。村上春樹さんが小説家になろうとした時のように。だから、転職や企業で「迷っている」人がいたら、やらない方がいい。そういうことをライフネット生命岩瀬大輔さんだったと思うけれど、以前言っていた。同じことだ。その時が来るまで、準備すればいい。準備とはどういうことだろう?目の前の仕事をこなして、家庭を維持して、こうやってブログを書いて、ということの日々の積み重ねではないか。
しかし、本書としては、結婚は誰でもできるように設計されているので「迷っている」なら結婚してみよう、ということだった気がする。

机に向かっている時間以外もすべて「哲学研究」なのだ、という内田さんのマインドセットはいいね。自分もそう考えている。無駄な時間は無い。あるいはどんな時間や経験からも学ぶことができる。 皿洗いからもね。

「機嫌がよい」ことの重要性。やっぱり内田さんはわかっている。
そして、政治思想はアナーキズムが好きだけど、理由としてはアナキストに「機嫌のいい人」が多いからだという。これもよくわかる。
なんだか、自分と内田樹さんが相性がいい気がしてきた。これは意外だ。もう一度、内田さんの Twitter をフォローしてみようかと思った。

理由があって、本書を明日までに読まないといけない。ところが、今日は『スター・ウォーズ~最後のジェダイ』を見てきて、疲労が強くなっている。そんな中でジリジリ読むのも悪くない。

今、切実で本書にもっとも期待していた点について、歯切れが悪かった。それは内田さんも認めている。やはり自らの欲についてオープンにして一般化することは難しいのだろう。この辺りは勝手に色々悩むしかなさそうだ。
「ゆっくりと時間をかけての身体的接触」P205 という辺りにヒントがありそうだ。とか、とかをゴール、目的とせずにその手前の領域をもっと充実させていく。

家事の分担なんか、考えない方がいい。自分としては、今、自分に何ができるか、を考えて実行してくことにしよう。
そこで、大好きな家事宣言、というアイデアがいいね。自分は、まずは世界の中心で「皿洗いが大好きだー」と叫んでみる。そのリストを増やしていこう。
苦手だと自認している料理にしても、チャーハンの素で炒飯作るのは大好きだ。そういうこと。

読了した。実におもしろかった。深く肯くところが多かった。
結婚に対する考え方がいくらかお気楽になった。

早速、Twitter で内田さんのアカウントをフォローして、リスト(必ず見るリスト)に追加したんだけれど、政治的リツイートが多すぎてうんざりしたので、早々にリストからは外した。フォローは継続中。
本書とツイートがどうも違う気がする。

困難な結婚

困難な結婚