木村尚敬『ダークサイド・スキル』は、自分が求めている本だと直感的に感じた。
自分は長年、「悪の仕事術」について考えて、実践してきたので、それに接続すると思ったのだ。
本書を読んで、悪の仕事術に加える。
内容は意外と真っ当だった。
期待していたサボタージュのやり方などは書いていなかった。
巻末で良品計画(無印良品)の松井忠三さんとの対談もあるように、まじめな内容だった。
そこが若干物足りないと感じた。
ダークサイド・スキルというからには、もっと「なるほど、そこまでやるか」といったところが欲しかった。
それでも得るものはあった。
一冊の本から得るものなんて、ほんの数カ所で十分だ。
清濁併せ呑む
「ミドルのうちにどれだけ清濁併せ呑む判断の回数を重ねてきたか」(p36)というフレーズを脳内にクリップした。
マッチョな経験がダークサイド・スキルを鍛えるということだろう。
最近、意識しているのが、コンフリクトを恐れない、ということだ。
日本人の場合、このコンフリクト、人との争いを避ける傾向が強い。
争いを避けるために筋を曲げることも日常茶飯事だ。
ところが、コンフリクトを避けると禍根を残すことが多い。
組織の全体最適を考えると、個別のコンフリクトから逃げない方がいいと思っている。
神経回路マップ
「自分なりの神経回路のマップ」(p88)も意識したい。
自分としてはリゾームをイメージした。
情報の力。
「組織内の切った張ったというのは、結局、情報戦なのだ。インテリジェンス、いわゆる諜報戦に強い人間が勝つのである。」(p88)
日頃から、ネットワークの構築を意識する。
人脈とは違うイメージだ。
返報性の原則かな。
こちらからちょっとしたことを相手にしてあげることで、相手はそのうちそれにお返しをしなければいけない気持ちが残る。
それを積極的に作っておくのだ。
そして、いざという時に助けを求める。
いや、普段から神経回路を作っていれば、勝手に助けてくれるだろう。
部下と飲みに行く
部下と飲みに行くことも大事だ、というのには考えさせられた。
今まで自分から飲みに誘ったことがない。
そこは変化しようと思った。
早速、部下を飲み会に誘った。
OK もらった。
まずはいいね。
部下2人なので、イメージとしてはドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』、逃げ恥の百合さんでいこう。
ところで、百合さんって、理想の上司で石田ゆり子さんをランクインさせたらしいが、いったいどこが優れていたんだろう。
ぱっとよくわからない。
本書では、自分の時間の70%くらいは部下のために使うという心がけでちょうどいい、と書かれていた。
その基準からすると自分はまだまだ不十分である。
部下からのネガティブフィードバックもなかなか得られない。
この点も自分を変化させる必要がありそうだ。
踏み絵から逃げるな
本書でも、タイレノール事件でのジョンソン・エンド・ジョンソンの事例が取り上げられている。
厳しい状況において信念を貫けるか。
たとえ、個人でも。
日本の組織では、信念に基づいて戦って一時的に閑職にとばされても、またメインストリームに復帰するシステムがあるとのこと。
それは半沢直樹を思い出した。
官僚たちの夏もそんな感じだった。
命まで取られるわけではない、というのは勇気が出る。
堂々と主張すればいい。
しかし、ここは小林忍さんが『「経営の定石」の失敗学』で書かれていた、「一度は筋を通す。そして魂を売る」という姿勢が重要だろう。
判断は上司にさせるのだ。
まとめ
仕事で何かを成すには、人を動かさないといけない。
そのためには、まじめでまっとうなやり方だけではなく、ダークサイド・スキルも必要になる。
- 作者: 木村尚敬
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/07/06
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