『ゼロ・ダーク・サーティ』を見たよ〜生きる気力が湧いてくる長い映画

Zero Dark Thirty


下記「空中キャンプ」の記事を見て、見たくなった映画。
http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20130218#p1d.hatena.ne.jp

<待機>は自分の言葉では「宙吊り」で、ずっと考えてきた。
主人公がひたすら「宙吊り」に耐える映画、しかも長い、となれば見るしかない。
ちなみに『ショア』は1時間で会場を出た。

自宅でDVDで見ると、邪魔が入る。長男が、お腹壊したから正露丸ちょうだいと言ってくる。長女が、眠れないと起きてくる。しかし、その状況はまさしく『ゼロ・ダーク・サーティ』にふさわしい。
殺人こそ行わないが、自分の仕事もマヤと同じだ。結論が曖昧な打合せ、不眠、情報不足、上司、それぞれの執着、異動、ボロボロのメンタル、嘘、空振り、ぬか喜び、予算要求、官僚組織、進まないプロジェクト、こじらせプロジェクト、なんちゃってプロジェクト、一旦始めると終わらせることができないプロジェクト、損切りできない組織、スクラップできない組織、積み重なるサンクコスト、偉い人、「なんとかしろ」というだけの上司、メンバーが多過ぎる会議、理想と現実、根回し、コントロールできない会議、想定外の結論、無駄な作業、言うべき相手を間違っている人たち、、、
現実もハリウッド映画のようなカタルシスは無く、ディザスター映画のように派手な滅亡も無い。日々淡々と沈んでいく。ゆでガエル。あるいは、ガリガリとすりおろされる、気分としてはカブだ(ブコウスキー『パルプ』より)。

さて、自分はニルヴァーナレディオヘッドを聴くと、沼の底から湧き上がるような力を得られる。明るいポップソングや応援ソングを聴くとかえって絶望的になる。そんな歌謡曲はクソだ。それよりは、カート・コバーントム・ヨーク、あるいはイアン・カーティスの暗い歌を聴いた方が這いつくばって生きる気力が出てくる。最近はモグワイだ。
映画『ゼロ・ダーク・サーティ』にも、そういった効用があり、月曜日からまた全力ですり減って行こうという気力が得られるのである。気分としては「ソリッド・ステイト・サバイバー」。マッチョで素晴らしい、ハードボイルドな映画だった。
日本語吹替で二回目を見て、自分にインストールしようと思う。