ケン・シーガル『Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学』を読んだよ、たぶん二度目

最近は、二回読む本は少ない。この本は珍しく二回目。一回目は、図書館で借りた。二回目はKindleでセールされていたので買った。それだけの価値があると思う。

この記事は、『Think Simple』の書評ではない。読んでから私が考え続けていることを書いている。

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シンプルへの執着は本を読めばわかる。その表現の仕方が気になる。
「たとえば容赦の無い正直な電子メール」というのは、私が仕事で意識している一つである。なかなか難しい。しかし、明快で率直な言葉をできる限り選ぶようにしている。メールの相手にやって欲しいタスクは、番号を振って箇条書きで、いくつのタスクがあるのか、わかりやすいようにしている。
また、できればメールにおいては、挨拶を省略したいと考えている。なかなか実践できずに、定型文を活用している。
言い換えるとアサーティブ?
率直なコミュニケーションを基本とすれば、相手の裏や本心をあれこれと詮索する必要はない。コミュニケーションのコストが下がる。実際は、本音を隠しているコストの高い人が多い。そこをあえて読まないようにしてみる。
これを学生時代に私と友人は「お茶コミ禁止」と呼んでいた。「お茶」とはお茶漬けのことで、「コミ」はコミュニケーションの略。「お茶漬けコミュニケーション禁止」を友人と自分の周囲の世界のルールにしていた。いわゆる京都式のコミュニケーションのこと。「お茶漬けでもどうですか?」と勧められたら、その家に上がらずに断って帰らなければならない、そういう周りくどいコミュニケーションを禁止したのだ。
その文化が悪いとは言っていない。自分の世界では禁止したわけ。それを理解した人が周囲に集まった。理解しない人はたぶん離れた。
学生時代はそのやり方を通せばよかったが、社会人になるとそうもいかない。コミュニケーションコストが高い人ともやっていく必要がある。それでも、自分を率直なキャラとして打ち出していけばコストは下がる。「あいつは裏を読んでくれない」と思われれば成功である。
「気持ちですから」と下から差し出される菓子折りは端的に断る。規則的な禁止は大前提として、菓子折りなど受け取ってしまうと関係がシンプルでは無くなってしまう。そういうものを断る。

少人数グループの原則もまた仕事で心掛けている。ゆえにメンバーが10人を超えるようなワーキンググループで何か成果を上げられるはずがないと思っている。今、自分のチームは自分も含めて6名。これくらいがいいと考える。

イノベーションは1000もの物事にノーと言うことなのだ、とジョブズは言っていた。何かすることではなく、何かをしないことが重要になる。商品の選択肢を絞ること。大量の選択肢があると自分も迷う。迷った結果、買うことができなくなる。Appleであれば迷いが少ない。選択肢が少ないからだ。選択肢が多いことはいいことではない。

複雑になることは簡単。一方で、シンプルになるのは骨が折れる作業になる。聡明な人でもビジネスのやり方を複雑にすることをやめられない人がいる。組織のルールもどんどん増えていく。ルールが採用された時には、その経緯があったはずだがやがて経緯が忘れ去られてルールだけが残る。
経緯不明なルールは一旦廃止すればいい。その後、必要性を感じたらまたそのルールを復活させればいい。

確かにMacBook Airを買う時はほとんど迷わなかった。画面の大きさを選ぶだけだった(13インチ)。そして、店頭ですぐに買うことができた。箱一つを持って帰るだけだった。これがVAIOだったら色々迷って数週間買うことができなかっただろう。
次は同じMacBook Airの11インチを買うと決めている。できればメモリを増やしたいと思っている。その程度。

ジョブズだってデータを集めた。集めたデータを熱心に見るが数字で決断はしなかった。最終的な決断では、頭と心をよりどころにした。それは直感で判断したということだろう。データに目を通していない山勘とデータに目を通した直感では違う。
たとえばサッカー選手が相手チームのデータを頭に入れていたとしてもプレー中は直感で動くはずだ。データの無い直感とデータを頭に入れた直感では動きが違う。

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学