マルクス・アウレリウス『自省録』を読んだよ

2013年は古典を読もうと考えている。そこでマルクス・アウレリウス『自省録』を読んだ。
Twitterを起動しようとして、いかにその気持ちを抑えて本に向かうか、が2013年のテーマです。なかなか難しいですが。
以下、レバレッジメモ。

レバレッジメモ

人は田舎や海岸や山にひきこもる場所を求める。君もまたそうした所に熱烈にあこがれる習癖がある。しかしこれはみなきわめて凡俗な考え方だ。というのは、君はいつでも好きなときに自分自身の内にひきこもることが出来るのである。実際いかなる所といえども、自分自身の魂の中にまさる平和な閑寂な隠家を見出すことはできないであろう。(第四章三)

自分の内面に自分の場所を作る。精神の宮殿を築いていたハンニバル・レクター博士を思い出す。
通勤電車内でも自分自身の魂の中に過ごすことはできます。スマホを触らない時間をもっと確保しようと思います。

 であるからこれからは、君自身の内なるこの小さな土地に隠退することをおぼえよ。何よりもまず気を散らさぬこと、緊張しすぎぬこと、自由であること。(第四章三)

 明けがたに起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ。」(第五章一)

↑月曜日の朝にこれを思いながら布団から立ち上がれ日本。ブルー・マンデー。イアン・カーティス

 私は自然にかなう道を歩み、ついに時が来れば倒れて休息し、毎日吸い込んでいた空気の中へ最後の息を吐き出し、私の父が種を、母が血を、乳母が乳を汲みとった地の上に倒れるであろう。(第五章四)

 君が自分の義務を果すにあたって寒かろうと熱かろうと意に介すな。またねむかろうと眠が足りていようと、人から悪くいわれようと誉められようと、まさに死に瀕していようとほかのことをしていようとかまうな。なぜなら死ぬということもまた人生の行為の一つである。それゆえにこのことにおいてもやはり「現在やっていることをよくやること」で足りるのである。(第六章二)

ただ生きればよい。という肯定感。皇帝の肯定。
たとえば子育てにおいても「現在やっていることをよくやること」だけやればいい。難しく、真剣に考える必要はない。

 他人のいうことに注意する習慣をつけよ。そして出来るかぎりその人の魂の中にはいり込むようにせよ。(第六章五三)

「魂の中に入り込む」ってのがいい。ソウル・ダイブ。ミッシェル・ガン・エレファントの曲みたい。

 私は物事について自分の持つべき意見を持つことができる。それができるなら、なぜ私は心を悩ませるのだ。私の精神の外にあるものは、私の精神にとってなんのかかわりもない事柄だ。このことを学べ、そうすれば君はまっすぐに立つ。(第七章二)

悩みというのは、自分の外側にあるものだから気にしなくていいという考え方。ストア派の特徴かな?

 人の話について行くためにできるかぎり努力せよ。ものごとの結果や原因の中へ心ではいり込むようにせよ。(第七章三〇)

 先の引用と同じことを言っている。

 死を軽蔑するな。これもまた自然の欲するものの一つであるから歓迎せよ。(第九章三)

 無関心でも、激しく気持ちを抱くのでもなく、当たり前のこととして死を考えること。メメントモリ
 マルクス・アウレリウスさんって思考のバランスがいいよね。とても皇帝とは思えない。

 君は多くの無用な悩みの種をきりすてることができる、なぜならばこれはまったく君の主観にのみ存在するからである。(第九章三二)

宇宙や永遠の時のことを考えたら、悩んでいることなんてちっぽけだよね、と続く。悩みは自分の外にあるからそれは自分の精神にとって関係無い、という考え方があるようです。
考えの対象を自分自身から他へ移すといいようです。

 すべての出来事は、君が生まれつきこれに耐えられるように起るか、もしくは生まれつき耐えられぬように起るか、そのいずれかである。ゆえに、もし君が生まれつき耐えられるようなことが起ったら、ぶつぶついうな。君の生まれついているとおりこれに耐えよ。しかしもし君が生まれつき耐えられぬようなことが起ったら、やはりぶつぶついうな。その事柄は君を消耗しつくした上で自分も消滅するであろうから。(第一〇章三)

 善い人間の在り方如何ついて論ずるのはもういい加減で切上げて善い人間になったらどうだ。(第一〇章一六)

 ここにおいてストア哲学は、その実践倫理に特有な思想として、我々の自由になることとならぬこととの区別を強調する。我々の自由になることとは我々の精神的機能、わけても意見をこしらえたり、判断をくだしたりする能力である。また徳および悪徳である。これに反し我々の外部にあるものは我々の力でどうにもならない。我々の肉体もその一つである。(解説 神谷美恵子

変えられることと変えられぬことを区別する分別、という感じ。前者を変えることに集中して後者は放っておく知恵。
自分が変えられないことにこだわり始めると精神が危うくなる気がします。
権力者である皇帝ですら、ましてやただの日本人には。

自省録 (岩波文庫)

自省録 (岩波文庫)