読みました。山形浩生さんの翻訳というのもポイント。この場合、時間が無ければ山形さんの解説を読むだけでよいです。ノーベル経済学賞を受賞しているクルーグマンよりわかりやすい(笑)。
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つまり、
- 昔ながらのケインズ的な財政出動でオーケー
- 赤字国債出して、大量の公共工事やろう
- でっかい規模でやらないと意味が無いよ
- 中央銀行はこれを金融緩和で徹底的に支援すべき
- 財政破綻や金利上昇は、独自通貨を持たないユーロ圏のスペインやイタリアのようなかわいそうな国以外は、まったく心配する必要はない
ということになります。
個人的にはっしと膝を打ったのは、独自通貨を持っているかどうかで大きく違うというところ。これは、日本とギリシャを単純に比較することはできないってことになりますよね。
単純に比較して日本の財政の危機を煽る人は、
- 勉強不足か、
- 頭が悪いか、
- あるいはわかっていてあえてギリシャを持ち出すことで危機を煽って自分の思い通りに何かを達成しようと狙っているか、
いずれかでしょう。
山形さんは、日本のことにも触れて「現状の各種政策の愚かさ」を嘆いています。
解説を書かれたのが、2012年6月30日。そこから大きく政治は変わりました。選挙があり、愚かな政策をとっていた民主党が退場して、自民党政権が復活しました。一度は失敗した安倍晋三さんが首相に復活しました*1。そして、アベノミクスです。山形さんは、どう思っているでしょうか?
たしかクルーグマンさんは、
- アベノミクスは完全に正しい。ただし、安倍首相の政治的な姿勢は嫌いだ。
という複雑な立場だったと思います。
Japan Steps Out - NYTimes.com
クルーグマンのアベノミックス評: 極東ブログ
別に安倍さんは「とち狂った思い込み」で「結果的に正しい」経済政策を偶々やってしまっているわけではないと思います。前回の首相降板以降、健康的に回復して経済を相当勉強してきたように思われます。っていうか、その間、政権を担当していた民主党の人たちはいったい何をやっていたんでしょうね?
民主党があまりにあれだったので、安倍さんが輝いて見えます。
あと、山形さんは、
そして予算つけるだけでなく、それをちゃんと消化しようと。必要なら予算執行の細かい基準とか緩めようよ。
と言っています。緊急経済対策で補正予算をつけながら、予算執行においては、政府調達などのルールから早期執行がなかなかできない状況です。その辺の実務に融通を効かせられないものでしょうか?早くやれやれ、とただ尻を叩くのではなく、法律や規則の緩和という根拠でちゃんと支えてもらいたいものです。そうしないと執行した後に会計検査院や蓮舫さんがうるさいので。
あれ?山形さんの解説だけで、こんなに長い文章になってしまいました。
本当は、私はクルーグマンの言っていることを理解している自信が無いので、この記事はレバレッジメモを自分の勉強のために残そうと意図していたのでした。
この後にレバレッジメモを書くと長過ぎる=2,000字目安を大幅に超えそうなので、別記事にしようと思います。
あと、山形さんの解説を読めば「今の世代のために将来にツケを回していいのか」という議論は正確ではないと思うようになります。その辺りの脅しは、増税のための財務省の論理のような気もしています。
デフレのまま財政再建を行い支出削減するのも将来へツケを回すことになるようです。
- 作者: ポール・クルーグマン,山形浩生,Paul Krugman
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/07/20
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*1:一度失敗した人が復帰できるのはとてもよいことだと思います。