ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』での二つの自己という概念は使える。
経験する自己と記憶する自己が違う、という考え方だ。
たとえば思いついたのが、セックスについて。
セックスは、実際にその最中はこの上なく気持ちがいい。
それは経験する自己が感じている気持ちよさだ。
しかし、いつか終わってしまう。
後日、経験する自己がセックスしている時の気持ち良さを記憶する自己はうまく再現できない。
記憶に頼っても、セックス自体の気持ちよさは再現できないのである。
だからまたセックスしたくなる。
持続時間の無視とピーク・エンドの法則が重なると、長時間にわたるおだやかなしあわせよりも、短時間の激しい喜びを好ましいとするバイアスが形成される。『ファスト&スロー』下 4403
こうやって不倫に走る人々が形成される。
結婚生活による穏やかな幸せよりも、不倫セックスの短時間の激しい快楽を好ましく思ってしまうのである。
自分の脳に騙されているとも知らずに。
セックスのみならず、アルコール、覚醒剤、その他色んな中毒が経験する自己と記憶する自己で説明できるかもしれない。
SNSでの承認欲求の肥大化も記憶する自己が強すぎることが影響している気がする。
自己が複数あるとか、トゥワイス(僕のヒーローアカデミア)を直近では思い出す。
多くの人が、記憶する自己の方が強いんじゃないかな。
それで色々とミスをする。
今を生きる人というのは、経験する自己の方が大きいのかな。
経験する自己の使い方がうまい、というか。
セックスとは逆に、子育てのような場合、経験する自己は追い詰められるが、その時期を過ぎてしまえば記憶する自己により大したことが無かったように書き換えられる。
つまり、子育てでのノイローゼや悲劇を防ぐためには、とにかくその苦しい時間をやり過ごすことなのだ。
やり過ごしてさえしまえばいい。
自分も他人も誰も殺さなければいい。
経験する自己と記憶する自己というツールは色々と機能する。
機能するので、使っている。
書いていてつまらなくなった。
理に落ちてつまらないのだ。
自分のもんになっていない。
借り物の理屈。
腹落ちしていない。
でも、もったいないから投稿はしておく。
後日、使えるかもしれないからね。
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