スコット・ジュレク『EAT&RUN』を読んだよ〜生き方がシンプルになる本

ウルトラマラソンのランナースコット・ジュレクが書いた本。私はこの人を知りませんでした。
この本がおもしろかった。Kindleで読みました。

シンプルな競技、シンプルな生き方、シンプルな哲学が感じられて、読むと元気がでます。困難に対しては答えは一つしかない。立ち上がって走れ。解決方法は前進し続けること。コーチ、グレン・ソレンセンのモットーは「痛みは痛いだけ」。これもシンプルで役に立つ。
正直、それぞれの大会の結果とかどうでもいい。
「現代のヘンリー・デイヴィッド・ソロー」って紹介されたダン・プロテクターとは「今、ここ」を意識する生活について語った。全体的に「禅」っぽい思考が感じられました。禅そのものにはジュレクは傾倒していないようですが。
シンプルになることは、シンプルじゃなくて難しいんだけどね。ジョブズに関する本を読んでもわかります(ケン・シーガル『Think Simple』とか)。
パーシー・セラティは「人間は自分の楽な範囲からはみ出して初めて人間として成長できる」と言う。
様々な他人の影響を受けてジュレクは思考を作っていったようだ。私もジュレクの本をインストールして自分の生き方を作る。

印象に残った段落を丸ごと引用してみる↓

自分の背負った重荷を下ろして軽くすることもできるし、そうしないでもっと努力することもできる。明日のことを心配してもしなくても構わないし、ひどい不運を想像するのも輝かしい明日を想像するのも自由だ。動いている限り、そんなことは問題にならない。何かしている限りは大丈夫だ。「どうして?」と自問するのもいいけれど、それは行動じゃない。走ること、動き続けることで得られるものは他の何にも代えがたい。 とにかくやるんだ。(No.1999)

節約しても、体に必要な食べ物は節約するべきじゃない、とジュレクが言っていることには納得しました。お金をかけてもいいものを食べるべきだと。そして、私は料理をしないので、そこはお金をかけよう。なかなか難しいけれども。

精神状態を維持する4つのステップ↓

  1. 痛みをそのまま感じる。悔しさ、悲しさ、あらゆる感情を受け止める。
  2. 状況を把握する。現実。
  3. 今の状況を改善するために何ができるか?具体的なアクション。
  4. 焦りや苦しいという感情を頭の中から取り除く。今やるべきことに集中する。

タラウマラの走り、生き方
最高に効率が良く、余計なことは一切考えない。政治的ポリシーからテクノロジーを否定したりもしない。もしテクノロジーが利用可能で生活が効率化するなら受け入れる。柔軟な生き方をする民族だとわかりました。

勝利に飢えている。でもウルトラマラソンから学んだのは、どんなに全身全霊を傾けてゴールに辿り着いたとしても、勝敗は結果でしかない。

ランニングがコントロールの効いた落下だということを忘れてはいけない。

ランニングだけじゃなく、あらゆることの見返りは自分の中に存在する。自分に喜びや平穏を与えてくれるのは、優勝そのものじゃなくて、それを達成するためのプロセスにある。

長い距離を長時間走る時に何を考えているのか?思考は基本的で重要なことに使うのが一番いい。次の具体的なアクション。何もない「今」という瞬間にどっぷり浸かることが大事。

絶望的な時にちょっとした温かい行為で救われる。無駄なことなんて何もない。前に進む事こそ、それが馬鹿らしく思えるときにこそ、世の中で最も意味があること。

勝つためには勝利には意味がないことに気づかなければならない。この辺は、梅原大吾さんの考えに通底している気がします。トップの勝負師の多くがこの境地に達しているんじゃないでしょうか。羽生善治さんとか、イチローさんとか。勝つことに執着することを止めた時に勝つことができるという難しさがあるようです。本当にトップの選手にはこの境地が感じられます。

「一歩ずつだ」「今という時に留まれ」先のことを考えすぎると心の変調をきたす。未来のことは、原理的にどうしようもない。できるのは今、ここで、一歩前に進むこと。一歩でも確実な前進ドラゴンアッシュはやっぱり正しい。

負けることはある。欲しいモノが手に入らない。失恋。後悔する決断。負けたあとに何をするか、負け方が生き方を決める。

極限まで切り詰められた人生食べる、飲む、走る。食う、寝る、遊ぶ。

周囲に対してオープンでいたかったから、音楽を聴かないようにした。通勤時にWALKMANで音楽を聴いたり、あるいは同じような理由で聴かなかったり。音楽に集中することで痛みが抑えられる。

ウルトラランナーは正気を保つためにゴールが必要。でもゴールに執着したら破滅してしまう。

食べることも走ることもシンプルな活動気持ちを込めて気を配りながら行い、今を大事にして謙虚になれば、シンプルな活動が超越の道につながる。

引用じゃなく、自分なりに抜書きしながら、自分の言葉も混じえました。だから、本を当ってください。この記事は、あくまで私の思考の表現になっています。

たとえば毎日の仕事もウルトラマラソンのようにやればいいんだと。たくさんのプロジェクトが同時に降りかかってきても、一歩ずつやるしかない。シングルタスクで。

EAT&RUN

EAT&RUN