『シリコンバレー式 よい休息』を読んだよ

rest

アレックス・スジョンーキム・パン『シリコンバレー式 よい休息』を読了。原題は"Rest"というシンプルなもののようだ。邦題で『よい休息』となり、さらに「シリコンバレー式」と加えられたのは、大人の事情だろう。中身は、今まで様々なところで聞いたような知見を、様々な事例を紹介しながら説明している感じ。さほど目新しい知見は無かったが、復習にはよい。

休息

1日4時間、集中して働いて、あとは休息するのがよさそうだ。
レイモンド・チャンドラーにも触れられていて、4-hours writing にも接続する。また、エッセンシャル思考との親和性もありそうだ。長男にも意識させようと思う。受験勉強にも活用できる考え方だろう。

休息としては、自分では昼休みの15分間パワーナップ(仮眠)を最近の習慣としている。うまく仮眠できると、午後からの調子がよくなる。週末だったら、眠たければ昼寝をする。最近、「二度寝」について書いた。週末の昼寝は自然に任せる。2〜3時間眠ってしまうこともあるが、それはそれで必要だと思う。自分の体が求める休息、睡眠を信じていい。

運動

歩くこともいいらしいので、これは仕事中でも、あれこれ口実を作って建物内でも縦横無尽に歩けばいい。現場に足を運ぶことにも繋がるので、仕事にもプラスとなる。歩くことは、最も手軽で始めやすい運動だと思う。
こちらも長男にすすめたい。放置すると一日中、勉強部屋にこもっている。効率が悪いように見える。たまには散歩でもするといいのに。
本書では2人の日本人が事例として上がっている。村上春樹さんと山中伸弥さん。偶然、どちらもマラソンを走る人だ。マラソンやトレイルランニングに興味はあるが、自分はなかなかそこまで走り出せないでいる。まずは歩くことからだ。

デフォルトモード・ネットワーク

DMN(デフォルトモード・ネットワーク)+マインド・ワンダリングの活用。自分は常に上の空で生きていることを自己嫌悪しているが、上の空にも効用がある気がした。not to do 何もしない時間の重要性。昔から書いているバロウズ方式にも接続するのではないか。問題を頭に入れて、あとは脳の自動機械にまかせる。そうすれば、勝手に答えが出てくるというわけだ。アメリカ人は、問題に手をつっこんでぐちゃぐちゃにしてしまう、ということをウィリアム・バロウズは書いていた気がする*1
ちなみに、DMネットワークと書くと、TMネットワークみたいだ。

ディープ・プレイ

ディープ・プレイという概念はおもしろい。たとえば、それは糸井重里さんが40歳過ぎてから始めた釣りのような対象ではないか。情熱の薔薇。ふと思ったのは、自分にとっては、「投資」がディープ・プレイになり得るのではないか、という可能性だ。投資は、成果が現れるし、真剣になる。没頭もできる。コストもかからない「趣味」だ。

とりあえずのまとめ

しかし、この本には問題もあって、自分の主張に都合の良い事例ばかりを集めてきている点だろう。一般書としてやむを得ないのかもしれないが、その点は割り引いて読む必要がある。
たとえば、将棋の棋士である羽生善治さんが、それほど運動について話題にはならない。運動しない、休息しない人もいる。
それでも、本書は、休息というものが幅広い概念で、かつ仕事に対立するものではなく、戦略的に活用すべきものだということがわかる良書だと思う。読了後は、各自で自分のスタイルを作っていくべきだ。万人に当てはまる答えは無いのだろう。山中伸弥さんみたいに、昼休みにランニングすることがみんなに合うわけではない。

シリコンバレー式 よい休息

シリコンバレー式 よい休息

*1:たぶん『裸のランチ