梅原猛さんの『古事記 増補新版』を読みました。現代語訳?
『古事記』を通して読むのは初めて。
痛快なほど率直に書かれています。すぐ交わります。殺します。それを梅原猛さんは非人間性とか異常なことと書きますが、それは近代の人間観での価値判断だと思います。キリスト教以前のイエスみたいな人々。それが生き生きと描かれる。『三国志』もそんな感じ。
最近、割とセックスのことをよく考えているので、古事記の神々や人々が読んでいて気持ち良い。ギリシャ神話の神々も似ていますよね。しかし、前者の日本は世界で最もセックスをしない国となり、後者のギリシャは世界で最もセックスする国。いったいどういうことだろう?
そこで、豊玉姫*1は、不思議なことだと思って、出て見ると、一目で好きになって、さっそく、男女の交わりをされた。(1737)
梅原猛さんがこだわられている日本の史観とか、まあ、どうでもいいです。気になるのは、セックスのこと。平安時代も、セックスできない夜に仕方ないので和歌を詠んでいたような気がします。セックスがあれば、文学は不要なのかもしれません。
しかし、古事記の言葉は率直であるがゆえにセックス自体の描写はほとんどありません。たとえば現代のドラマだと、セックス自体の描写はほとんど飛ばしますよね。安易な描写を見るとちょっと白けます。どう書くのがおもしろいのか、考えます。、、、セックスについて、あれこれ考えるとどんどんセックス自体から離れていきますね。そこに文化が発生するのかも。ラブ&ピース。
その男が、夜の夜中に、女の寝ているときに、風のごとくやって来て、お互いに好き合って、その夜から毎夜、寝所をともにした。(2395)
二十世紀の津田左右吉が歴史を偽造した、と梅原さん。梅原さんの説では、中国あるいは朝鮮半島から渡来した民族と隼人との混血である日向王が中央進出して大和を占領、大和朝廷を作ったとのこと。まあ、渡来人起源と考えるのが自然ですよね。だからって、今の中国や韓国が日本を侵略していいはずもありませんけど。逆もそう。
アイヌ語は日本語の祖語とも。もちろん渡来人の言葉と混じって今の日本語になっている。アイヌ語は割とそのまま残ったものではないかと。
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*1:姫は、本書では「左「田」右「比」に「売」でヒメ