ある匿名ブログのCOVID-19についての事実誤認について

仕事の上で信頼できる情報源としてチェックしているブログで首をひねる事実誤認が見受けられた。
それはCOVID-19に関してのものだ。

今回の新型コロナウイルスに関しては、感染症専門家ではない医者でも間違いが多いようだ。
だから仕方ないのかもしれないが、読んでしまったからには間違いは間違いと指摘したくなった。
全体の論旨、危機管理ができない日本というのは大きな問題なのでとりあえず置いておいて、まずは事実誤認を指摘しておきたい。

念のため、私は感染症専門家でも医者でもないので、その点は留意願います。
このブログは自分の学びのためのものです。
よって、特段事実誤認ブログを特定せずに下記を書いています。
名指ししてその人を批判する意図はありません。

「クルーズ船での信じられない感染拡大は、危機管理の失敗によるものだったことが明らかになりつつある。」
客観的な記述だが、クルーズ船対応が失敗だったとは、これを書いている2/25時点でも簡単に言い切れるものでは無さそうだ。
「信じられない感染拡大」といった言葉遣いも冷静さを欠いている。
書くなら単に「クルーズ船での感染拡大」と書けばいい。
クルーズ船対応を失敗と言うにも、色々区別しないといけない。
たとえば検疫を行うという判断が正しかったかどうか。
そして、検疫のオペレーションは正しかったかどうか。
少なくともこの2種は分けないといけないだろうが、この記事ではどちらを指して「危機管理の失敗」と言っているのか不明だ。

また「他国は、日本からの情報を全く信用していない」という証拠にアメリカが改めて14日間の隔離措置をとったことを上げているが、これはクルーズ船の検疫期間中に感染拡大したことによるもので、日本からの情報を信用していないわけではないだろう。
そもそも日本側は、14日間の検疫を終えて下船させたからって、感染していない証明を与えたわけでもない。
それはこの後にもあるが、書き手が、おそらく新型コロナウイルスの検査について勉強不足であることから来る誤読である。
そもそも他国政府からの批判を特段目にしていないが、どこかの国から何か日本政府に対してクレームがあったのだろうか。
自分が見た限りではインドネシアだったか、日本は情報を出さないという閣僚のインタビュー記事を見たぐらいだ。
2020年3月1日時点で、アメリカが渡航制限をしているのは韓国とイタリアだ。

「クルーズ船から下りた日本人たちは、公共交通手段で帰宅した上に、以後の行動に制約はないのだから、確率的にウィルスは拡散されることになる。」
ここも事実誤認がある。
2/24にBuzzfeedが記事にしているが、クルーズ船に乗船して支援にあたった和田耕治教授のインタビューを読むと、下船した乗客に感染者がいることも想定して、何か症状が出たら連絡をくださいとか、外出はできる限り控えてくださいというお願いを示した「健康カード」を配っている。
「いわゆる法令に基づいた今回の検疫は14日間というのが限界」という状況でやれることをやっているのだ。
日本は法律に基づいた対応をしている、行政とはそういうものだとブログ著者が知らないはずはない。

「陰性だったサンプル取得移行の隔離が不十分だったために、運の悪い人が新たに感染したかもしれない」というのはPCR検査について勉強不足である。
先の和田教授も発言しているが「検査の感度(陽性者を正しく発見する割合)も100%ではありません」ということなので、陰性が感染してない証明にならないことは、感染症専門家の間では常識だし、そんなことはTwitterでも見ておけばわかることだ。
当該ブログの書き手さんは何を情報源とされているのだろうか?
ことCOVID-19に関しては、情報源が弱いと感じた。

ここまで勢いで書いた。
少なくとも日本のCOVID-19対応が間違いだったかどうか、失敗だったか、このことをもって日本が危機管理ができない国かどうか、というのは現時点であれこれ言えないだろう。
それだけは書いておきたかった。
当該ブログの著者はそれなりの経歴と地位のある人だが、何かめずらしく感情的な記事で事実誤認が多いと感じた。

この文章はこのまま投稿するが、私は感染症の専門家ではないし、医療関係者でもないので、この文章は正しい情報を伝える目的ではなく、それなりの地位にある人が匿名で書かれたブログに強い違和感を感じたのでそれを指摘したいだけである。
もちろん反論もあるかもしれないが、そこは謙虚に聞いて、間違いがあれば認めて訂正していきたい。