山崎元『全面改訂 超簡単 お金の運用術』を再読からの『賭けの考え方』

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photo by kirainet

山崎元さんの『お金の運用術』を再読しました。Kindle版。いつでも読み返すことができます。一般人のお金の運用について押さえ直すために、毎年一回は読み返そうと思います。ほぼ日手帳WEEKSを切り替えた年末のタイミングがいいですね。

さて、今日は、重要な箇所を引用します。お金の運用よりももっと基本的なお金や人生に対する考え方です。

 解約には、儲けの場合も、損の場合もあるが、それらはしょせん過去に起きたことの結果であり、現在の判断が重要なのだ。この点を心から納得できると素晴らしい!現時点で売買可能な価格が投資の判断の前提なのであって、自分の過去の買値は判断に関係させない方が正しいのだが、これができない人が多いのが現実だ。(381)

これってお金に対する姿勢で本当に大事なことです。私もまだ「心から納得できる」とは言い難いです。「プロスペクト理論」では、損の場合の方が儲かる場合よりも精神的にインパクトが大きいらしいです。
たとえば個別株式を購入したり、売却する判断はその時点の株価で判断するべきで、いくらで購入したかという過去の金額にとらわれてはいけないということです。

その時点で正しい判断をすること、という重要なポイントは、山崎元さんが推薦するポーカーの本『賭けの考え方』でも繰り返し述べられます。
よって、本書でこの箇所に引っかかった人は『賭けの考え方』を続けて読むと、山崎元さんが言っていることが腑に落ちると思います。こちらもKindle版があります。
サンクコストという考え方も近いものを感じます。過去の判断による損失で取り戻せないものを現在の判断材料に入れてはいけないということでしょう。

先の引用のしばらく後には、

 改善できないことについては、諦めてもいい。そう思って生きると人生は楽になるし、改善できることに集中する結果、パフォーマンスが向上することを期待できる。(400)

とも続きます。
こういうところで本書は、人生や仕事にも有用な本です。この辺の考え方は、『7つの習慣』のインサイド・アウトにも近い感じがします。

ちょうど、ソフトバンク孫正義社長のよい記事がありました。

「退却できない奴はケチ、意地でやる奴はバカ」 孫正義氏が説く、会社を潰すリーダーの特徴 | ログミー[o_O]

孫さんは、ここで武田勝頼を例に挙げて「バカの典型」と紹介しています。
退却できないと全滅するよ、という話です。退却できない人は、途中から意地になってしまうんですね。また、もったいないから損失を取り戻そうとするわけです。そう言う発想が会社を潰しますと孫さんは言っています。
これは、投資でもポーカーでも同じです。山崎元さんや『賭けの考え方』と同じ考え方を孫さんもしっかり持っていることがわかります。

現在の時点で正しい判断をすること、に集中するためには、最近書きましたが、フラットというキーワードがポイントになると考えています。

フラットというキーワードで束ねる - シリアルポップな日々:serialpop days

感情的になるな、ということは『賭けの考え方』でも述べられています。フラットな精神状態を保つことで正しい判断ができるようになると思います。過去に引きずられて、現在で正しい判断ができないことはごく普通であり、よくあることです。だからこそ、意識的に身につける必要のある考え方だと思います。

賭けの考え方 カジノブックシリーズ

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