結婚は困難だが役に立つ~内田樹『困難な結婚』その1

妻が、あれ、これ逃げ恥とおなじことを言ってる、とつぶやいたのが内田樹さんの『困難な結婚』という本だった。そこで、「内田樹 逃げ恥」で Twitter を検索してみると、情報がいっぱい出てきた。「逃げ恥」というのは『逃げるは恥だが役に立つ』というテレビドラマの略である。元々は漫画?どうやらその原作者の方が、たぶん内田樹さんの読者で、言葉や考え方などが逃げ恥にも取り込まれているっぽいのがわかった。そういった情報が無く、気付いた妻もすごい。
そんなこんなで、自分も『困難な結婚』を読んでみることにした。
今の内田さんは、政治・経済的な面ではとんちんかんだと思っている。だからこそ、読んでみる意義もある。

ああ、自分の「果たしえぬ夢」を娘に投影する母親っているよなあ。
要するに母親の意見は聞くな、ってことだろう。自分の結婚の「失敗」を娘で「復讐」しようとする母はいる。それが無意識だから、また困る。娘は親離れをしないと結婚もできない、という話はよくわかった。

不機嫌にならずに、ご機嫌でいられるか。特に厳しい状況の時に。という要素は確かに重要だ。いちいち肯く。

内田さんの、本書での切れ味の鋭さと Twitter での政治的発言のギャップはなんだろう?Twitter というツールが色んな人のレベルを下げてしまうのかなあ。

本書とはまったく関係ないが、Twitter で議論になるワクチン推進と反ワクチンで、後者の人は自分の個人的な「接種しない」という選択をマクロに広げようとするから、前者の医者などは腹立たしく思うのではないか。難しいのは、「接種しない」という選択が、自分が接種しないだけではなくて、子どもに接種させない、ということにもなってしまう、という点だろう。この話はまったく関係ないわけではなくて、本書で内田さんが「秘薬」の話をされた箇所を読んで、思ったことだ。

うーん、政治、経済の話題になると、ちょっと偏りを感じるよなあ。結婚周辺の話に集中してもらった方がいいのではないか。で、読者としては、複数の内田樹のうち、選択してインストールする、ということだろう。ところが、実際はすべてを肯定してしまうか、すべてを拒絶してしまうか、になりがち。
しかし、逃げ恥の原作者の方は、おそらく内田さんの社会認識をベースにして、じゃあ雇用関係として結婚してもいいのではないか?というアイデアを具現化してすばらしい物語を作ったわけで、自分も逃げ恥を見ながら、この政治・経済認識は偏っているなあとは思わなかった。
やはり批評家、思想家、哲学者より、小説家、漫画家の方が偉いと思う。解釈、説教、演説は簡単で、物語を作る方が難しい。そして、物語の方が説得力があり、人を動かす。内田さんが、どれだけツイートしても、選挙結果は変わらないのだ。

いやもう、この辺、思いつきでどんどん書いているから。

たとえば「国民を食わせるために経済活動が存在するわけで」p67 という記述があるが、資本主義は国民国家を前提にしていないから、それは一つの思想だよね。資本主義には自律した力があって、勝手に国家を超えていくので、そんなこと言っても仕方ない。政治政策で何とか再配分をすればいいと思うのだけれど、左派の経済政策がどうしようもないていたらくなので、内田さんが嫌いな安倍政権が継続している現状だと思う。
うーん、内田さんの考えも「イデオロギー」だと思うんだけどなあ。こういう記述があるとさめる。
資本主義は資本主義でドライブさせて、その恩恵の偏りを政治政策によって再配分する。それが自分の発想で、内田さんとはずれる。仕方ないよね。

大人になるために結婚する、という発想は、以前、中沢新一さんも山田詠美さんとの対談本で言っていた。

結婚して「いいこと」が事後的・回顧的にわかる、というのはその通りだと思う。あらかじめわからない。やってみないことには。そして、結婚生活の最中は、余裕が無い。でも、後から振り返ってみて、というところなのはよくわかる。

セーフティネットとしての結婚は、病気をした時に実感できる。一人暮らしはたいへんだと思う。しかし、自分としては結婚の重みを減らす方向に希望を持っている。具体的には、ベーシック・インカムベーシックインカム、BI)だ。BI の世界になれば、結婚は激減する。シングルマザーも増えるだろう。子どもは産みたいが、旦那は要らない、という女性はたぶん多い。平安貴族のような社会になるんじゃないかな。

まだ読んでいる最中だが、長くなりそうなので、ここで1回投稿しようと思う。

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