ナイチンゲール伝〜グレタトゥーンベリもしくはイーロンマスク

鹿児島国際大学の入学式式辞で小林潤司学長が取り上げたストレイチーの「ナイチンゲール伝」、「悪魔に取り憑かれた」と表現されたナイチンゲール、早速、岩波文庫の『ナイティンゲール伝他一篇』を読んだ。
ナイティンゲールより、ナイチンゲールが好みなので以下「ナイチンゲール」で。
ストレイチーの文章、読みやすい。
伝記も短い。
短いのは良き。
パワポの作り方のような伝記だった。

中でも、神の過労死、ゲラゲラ笑った。

彼女の神についての考え方は、確かに正統的なものではなかった。栄光に輝く衛生技師に対して彼女がしていたであろうと同じような感じ方を、神に対してもしていた。ある場合には、考え方として、神と下水を区別していないように思われる。彼女独得の文章を読んで行くと、ミス・ナイティンゲールは全能の神をもまた自分の手中にしてしまっているような印象を与えられる。神もまた用心しないと、彼女にこき使われて死ぬことになりかねない。(p96)

ヴィクトリア朝批判とかどうでも良くて、これはこれで魅力的なナイチンゲールが非人情の視点で描かれていて良き。
ソフィアコッポラあたりが映画化したらおもしろいんじゃないかと思った。
『マリーアントワネット』を映画館で見たが、美しくて良かった。
徹夜明けの朝日とか。
思うのは、鹿児島国際大学の入学生のうち、いったい何人が学長の式辞を聞いて、そこに取り上げられた本を読んだり、映画を見たりしただろうか、ということ。
大学生であれば、好奇心のストライクゾーンを広げて欲しいよね。
そこから色々とおもしろいことが見つかる。