どうやって組織を変えるか、それが問題だ〜沢渡あまね『仕事ごっこ』

沢渡あまねさんの『仕事ごっこ』を読了。
本書によれば、仕事ごっことは、すでに無意味となったり仕事や慣習、仕事のための仕事という定義となる。
正確な定義は本書を当たってもらえるといい。

たとえば社内資料は体裁を気にすること無いと私も思うが、そこでもてにをはに対して厳しい人がいる。
資料の見た目にこだわり、何度も作り直しなどさせられたりする。
会議で誤字脱字を指摘されるとプライドが傷つく人もいる。
それらに対して本書では「所詮社内運動」を推奨している。
自分も、高らかに宣言はせずに、隠密理に同じ同士の輪を作っていきたい。

マネジメントの定義がすばらしかった。

人間ゆえの弱みに向き合って、仕組みでナントカすること。それを「マネジメント」といいます(個人の気合と根性でナントカさせること=マネジメントではありません)。

ローカルルールなどと批判されることも多い会計ルールは、ほとんどがこの「人間ゆえの弱み」に対して作られた仕組みだと思う。
もちろんもはや当初の意義を失って「仕事ごっこ」と化したローカルルールもある。
難しいのは、ローカルルールの当初の経緯などが引き継がれず、忘れ去られ、ルールのみが残っている場合、それが有効性を失っているかどうかの判断がしにくい場合がある。
そんな時は、一旦ルールをなくしてしまって、問題があれば復活させればいいのだが、なかなか会計の世界は融通が効かない。
「継続性の原則」などがルールの機動的な運用を妨げる。

残念ビジネスマナー10選は、補足したいものがある。
たとえば「メールを送ったら、すぐ相手に確認の電話を入れる」というのは、マナーではない。
相手がメールを読むかどうか信用できない、スルーされたら困る場合に電話してプレッシャーをかけるのだ。

ビジネスマナー違反について、「請求書や見積書の原本を郵送させる」のは国がまず書類原本主義を改めたらいい案件だ。
これはマナーの問題ではない。

社員のモチベーションを上げようとするより、モチベーションを下げることをやめたほうがいい、というのは、たとえば偉い人が良かれと思って飲み会やレクリエーションをやると、偉い人のすぐ下の中間管理職の忖度によって偉い人を接待する場になってしまうことがある。
誰のためにやったのかよくわからず、多くの社員のモチベーションを下げる結果になる。

その他、本書の指摘はいちいちもっともだ。
読むと痛快だが、問題は、具体的にどうやって古い組織や上司を変えていくか、その方法なんだと思う。
その現実的な方法については書いてなかったので自分で考えるしかない。
その方法としては「仕事ごっこ」が有効になることが多々ある。
デリダ脱構築みたいなものだ。
「仕事ごっこ」を徹底化することで、内部から崩れていくようなイメージ。
まあ、適当に書いている。