クリステンセン『イノベーション・オブ・ライフ』を読んだよ①

破壊的イノベーションで有名なクレイトン・クリステンセン『イノベーション・オブ・ライフ』を読んだ。原題は、How Will You Measure Your Life? で、まあ日本の読者にわかりやすいように「イノベーション」をタイトルに入れたかった出版社の意向はやむを得ないとしても、この原題を押さえておけばいいと思った。自分の人生をどのように測るか?本文中の言葉だと「自分の人生を評価するものさしは何か?」151 となる。

人生の問題を手軽に解決する方法は存在しない。ただ、助けてくれるツールはあり、それを本書では「理論」と呼んでいる。他人の成功事例は役に立たない。役立つのは成功例、失敗例から抽出された理論なのだ。
人生の答えは、理論の助けを借りて自力でみつけるしかない。

「報酬は間違いなく衛生要因だ。」459
「動機づけは、外からの働きかけや刺激とはほとんど関係がなく、自分自身の内面や仕事の内容と大いに関係がある。」471
夏目漱石の講演を思い出す。「現代日本の開化」だな。開化は内発的でなければいけいない、というやつ。再読しよう。青空文庫があるからありがたい。
人生の目的が仕事になっているかどうかだと思う。そうではなく、衛生要因、報酬などにつられて仕事を選んだ結果、罠に陥るとクリステンセンは言う。仕事の定義を変えないといけない。仕事は給与をもらうためのものではなく、人生の目的に直結した活動なのだ。

さて、人生の目的に直結するキャリアをみつけていなければ、創発的戦略をとる必要があると著者は書く。人生で実験せよと。それはわかる。そしてこれは、という道をみつけたら、えいやとジャンプする。言うは易く行うは難し。まあ、自分はまだ人生の目的はみつけていないのだろう。たとえば、転職にしろ、企業にしろ、やむにやまれぬ心があれば、他人や家族が止めても、そちらへ走るだろう。迷う、ということはそこまでの気持ち、覚悟ではない、ということなので、止めたらいいのである。

自分の資源を意識的に配分することが大切。そして、長期的な戦略に基づくべきだ。目の前の利益ばかりを優先すると誤る。特に家族という領域に資源を投資することは最重要だ。

成功した企業の93%が当初の戦略を断念。1145
これは以前読んだ「プランB」の話につながりそう。
最初は意図的戦略を推し進め、それが計画通りに行かない中で、副産物として現れた創発的戦略が最終的に企業を成功させる。ホンダのアメリカ市場におけるスーパーカブの事例。
しかし、この理論に依拠すれば、国の予算、補助金などは使えない。税金を投入している事業では、あらかじめ計画された意図的戦略以外の用途に予算を使うことは御法度だからだ。だが、国はイノベーションを推進しようとしている。典型的なダブルバインドだ。プランB、創発的戦略を認めなければイノベーションは起こせない。

読了して、Kindle でハイライトした箇所を読み返しながら、これを書いている。要するに、咀嚼している段階なので、まとまった文章にはなっていないが、この時点でとりあえず投稿しようと思う。続きはまた。