タイトルが媚びずにシンプルで、志を感じた。タイトルが説明的じゃないし、マッキンゼーなども入れていない。ストイック。
以下、レバレッジメモのようなもの。
時間をかけて残業して、仕事をする人がいる。大量の仕事は与えていない。時間内に終わらせないといけない。それを残業しても、丁寧にやる。与えていない仕事も自分でやる。それは「生産性」の観点から問題があるとわかる。労働投入型の発想から早く抜け出てもらわないといけない。フィードバックに活かしたい。コーチング。
「仕事はすばらしい。ところで、いったい何時間かけて作った?」という問いかけは有効。ただし、非難にならないようなコーチングが必要で、なかなか神経を使うところだ。「成長を支援するための、具体的で詳細なフィードバック」を心がけよう。
また、その一見無駄な仕事が活きる場面も時にあるから、難しい。本人が好きでやっているなら、やらせておくか?それは米倉誠一郎さんの言う「余剰」や「余裕」かもしれない。
大学にとっては、教員=研究者に自由に研究をしてもらうのが付加価値を上げることに繋がる。大学は、イノベーションとインプルーブメントによって、研究時間の余裕を生み出す必要がある。研究の「イノベーションのための時間的な余裕」である。
イノベーションには余剰や余裕が必要と米倉誠一郎さん。大学が研究でイノベーションを起こすには、教員=研究者に時間と予算の余剰と余裕が必要。しかし、税金が投入されているからと余剰と余裕が認められず、それでイノベーションを起こせと言われている。出資者は無理をおっしゃる。
— アキヅキダイスケ (@akizukid) 2017年8月26日
現状、教員が事務仕事、オペレーショナルな業務(定型的な作業)に忙殺されていることは、色々と指摘されている。そこに対するアイデアがあるか。たとえば、多くの会議、委員会を無くして意思決定を執行部に任せてはどうか。口出しする権利だけは残しておきたい?それで研究時間も欲しいというのは、ちょっと贅沢ではないか。
非技術的なイノベーションとして、ベーシックインカムは考えられると思った。これは別に書く。
日本は、非技術的なイノベーション、ビジネスイノベーションが弱いというのが伊賀さんの認識のようだが、事例はあると思う。すぐに思い浮かべたのは、糸井重里さんだ。私は、日本で Apple =ジョブズに最も近いのは、ほぼ日手帳=糸井重里さんだと見ている。他にも、佐藤可士和さん、ナガオカケンメイさんなどは、ビジネスイノベーションを起こしていると思う。事例はある。学ぶことは多い。
残業時間削減、会議時間を短くする、など、量の問題が目的化してしまう弊害というのはなるほど、と思った。目的はあくまで生産性を上げること。そこは見失わないようにしたい。
日本の流動性の低い雇用環境は、実は「優しく見えるけれど厳しい」飼い殺しに繋がると思った。アメリカ型の解雇文化の方が「厳しく見えるけれど優しい」。労働者は、次の職場に移って、自分に合っている job を見つけることができるかもしれない。日本では雇用の流動性が低いから、組織内で動けずに澱んで鬱屈としてくる。
「やらないようりはやったほうが少しは価値がある」仕事を削るのが、難しい。必ず反対する上がいる。口だけ番長。鶏肋。自分の権限の範囲内で、黙って止めてみるのがベターな対応か。変えるには偉くならないと駄目なのは、『踊る大捜査線』でも『CRISIS』でも描かれている。官僚的組織には、いくら時間と人手をかけているか、という生産性の分母の部分の意識が弱い。
育休等で長期休暇者が出たらチャンスというのも、なるほどと思う。こうした機会に業務仕分けをやる。口実にもなる。欠員等もチャンス。
ホワイトカラー部門では多くの人が自己流で仕事をしている。また、一般的にホワイトカラー部門で働く人は、「自分の仕事は自分にしかわからない」と考えすぎだし、余計なプライドをもちすぎ、という指摘は耳が痛い。いくら指摘してもやり方を改めない若者も結構多い。
この点、日本のホワイトカラーが未熟ということであるし、逆に見れば、伸びしろがあると言えるか?
「マネージャーの仕事とは、トレードオフが存在する状況において判断を下すこと」という定義からすると、自分の今のポジションは、その権限が無さそうなので、意思決定に必要な情報やロジックを提供して上に判断してもらうインテリジェント機能になるのかなあと考えた。決断は上にしてもらい、自分はリスクに備えること。
「どちらも正解で、どちらも完璧ではない」という中でどれを選ぶかという意思決定は、俺には正解がわからない、と告白したリヴァイ兵長*1を思い出した。
多くの人が、管理職になる課程で牙を抜かれて、保守的、自己保身的になってしまう。そこを管理職になって、イノベーションを起こせるかどうかが勝負。管理部門にイノベーションは不要?そんなことはない、というのが本書の主張だった。
本書を読んで、学んで終わり、ではなく、どれだけ、実践できるかが勝負になる。
- 作者: 伊賀泰代
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/11/26
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