シーナ・アイエンガー『選択の科学』を読んだよ

先日、Twitterでこういうやり取りをしました。
サラリーマンは毎朝主体的に自らの仕事を選び直す - Togetterまとめ
このやり取りの中でマロ。さんに教えてもらった本を読みました。
シーナ・アイエンガー『選択の科学』という本です。

そして、Twitterでのやり取りについてはいっきさんが下記のようなブログ記事にされました。
iki0102|会社員のプロとしての道を往く。技術としての、心と認知の使い方。 | イキブロ
これは私も書かないわけにはいきません。

その準備段階として、読んだメモをブログにしてみます。そして、それを材料にもう少し考えて自分なりの記事にしたいと考えています。
以下、レバレッジメモ。

『選択の科学』レバレッジメモ

自分の人生を「選択」という次元でとらえた方が明るい展望が開けるように思われた。

ホワイトホール研究
人々の健康に最も大きな影響を与えた要因は、人々が実際にもっていた自己決定権の大きさではなく、その認識にあった。
自己決定権や無力感のとらえ方は外部の力だけで決まるわけではない。人間は、世界に対する見方を変えることで、選択を生み出す能力を持っている。
人生の辛い出来事を不可抗力のせいにする人は、自分次第で何とでもなると信じている人に比べて、鬱病にかかりやすい。
「後天的な楽観主義」

ささいな選択であっても、頻繁に行うことで「自分で環境をコントロールしている」という意識を意外なほど高めることができる。
たとえば通勤時のルートを変えてみるとか?

ジョーン・ディディオン「わたしたちは生きるために、自分の物語を自分に語る」

選択の物語

監獄でさえ精神は自由→『ハンニバル』のレクター博士の頭の中の宮殿を思い出す。

「自己決定感」

驚くべき結果→原理主義に分類された宗教の信徒は、他の分類に比べて、宗教により大きな希望を求め、逆境により楽観的に向き合い、鬱病にかかっている割合も低かった。
制約は必ずしも自己決定感を損なわない。

恋愛結婚という概念は、西洋社会での個人主義の高まりと切り離して考えることはできない。
取り決め婚と恋愛婚とどちらが幸せか?

親や文化から受け継いだスクリプト

アメリカ人が自分で決めたいとして挙げた項目の数は日本人の四倍もあった。

共産主義体制は、最終的に致命的な欠陥から崩壊したものの、平均的な人が市販商品の多くを買えるだけの金を手にしていたという単純な理由から、人々は金の心配からほとんど解放されていた。
ソ連じゃ金があっても、何も買えなかった。今じゃ何でも買えるが、金がない」
ベーシックインカムはやはり失敗する?

「からの自由」と「する自由」
両方の自由を同時に最大化することはできないが、幸いこれはゼロサム・ゲームではない。

10種類ものチューインガムなどいらない。

私たちは日頃から、個性的でいたい、個性的な自分をわかってもらいたいと痛切に願っている。
意識が高い。
Twitterはそういった「意識が高い」人々の集まり

ベニントン・カレッジ
エマーソンの自己信頼の思想
実験的な教育哲学に基づいて創立された大学
リベラル
オープンな対話

認知的不協和
イソップ物語「すっぱいブドウ」

ダン・アリエリー

ライフスタイルに関する選択は、わたしたちの価値観か、少なくとも他人に自分尾価値観として認識させたいものを明らかにすることが多い。
日々の選択に、他人の解釈への計算が含まれている。

「360度評価法」「多面評価のフィードバック」

「ハッピーバースデートゥーユー」のリズムが他人には米国国家の出だしと思われる。
認識のギャップ

自分を実際よりより良く見せたいという誘惑に屈しないこと。

アイデンティティは動的なプロセス
選択も流動的なプロセス
選択は継続的な創造活動になる→art of choosing

「自動システム」
「熟慮システム」

ヒューリスティック(経験則)
誤用すると「意思決定バイアス」となる
ダニエル・カーネマン
エイモス・トベルスキー

人は利益より損失に対してずっと強く反応する

「確認バイアス」
自分の意見を裏づけたり、以前行った選択を正当化するような情報を進んで受け入れる。
Twitterでよく見られる光景

就職活動では、自分の意思決定をより徹底的に分析した方がうまくやっていたが、ところが年収が多かったのに本当に正しい選択をしたかどうか確信が持てず、仕事に対する全体的な満足度も低かった。

収入が増えるほど幸福度は高くなるが、それも年収750万円〜1,000万円ほどで頭打ちになる。

「吊り橋効果」
吊り橋の上のどきどき感と恋愛感情を混同してしまう。
自動システムは生理学的反応を引き起こした要因を認識できるとは限らない。
危険な状況で知り合った男女は恋愛に陥りやすい→映画『スピード』

コカ・コーラの味は砂糖と天然香味料だけではなく、自由の味がする。

精神は記憶された情報をほかの情報との類似性をもとに体系化する。
結果、ある情報に接すると関連する情報を呼び出せるようになる。
この連想は日常生活で不意に生じることも多い。
こうしたきっかけは「プライム」と呼ばれる。
プルーストの「紅茶とマドレーヌ」もそうだろう。

「ジャムの研究」
ジャムの品揃えが多すぎると、購入率が下がる。
Appleの品揃えの少なさ

チェスの名人の記憶力
チェスの盤面を5秒間だけ見せて再現してもらう実験。ただし、現実の対局で生じた盤面に限られる。駒をでたらめに配置した場合、名人でも初心者と変わらない再現率だった。
選択を行う際の、環境中の膨大な選択肢の中から、選択者が実際に検討する選択肢を取捨選択することがカギとなる。
→将棋でいう「大局観」による次の一手の直感的な絞り込み
専門家は選択肢を単純化できる。

「発明とは、無益な組み合わせを排除して、ほんのわずかしかない有用な組み合わせだけを作ることだ。発明とは見抜くことであり、選択することなのだ」(アンリ・ポアンカレ

制約が独自の美と自由を生み出す。
→日本の短歌や俳句
→現代世界のTwitter

アメリカでは親が延命治療中止の決定を下さなければならないのに対し、フランスでは親がはっきりと異議を申し出ない限り、医師が決定を下すのが通例となっている。
→日本はその辺が曖昧で、曖昧であるがゆえの問題が生じているかもしれない
決定を下す主体者となることで、その選択の重荷により極限まで追い込まれることがある。
医師が望ましい選択肢をはっきりと示すことで、困難な決定を担う人たちの負担を軽減できる。

もしかしたら、わたしたちはみな、完璧になろうと頑張りすぎずに、愛する者たちとともに過ごす喜びに、もっと目を向けるべきなのかもしれない。

1970年代のポリオワクチン接種(おそらく生ワクチン)
240万人のうちの一人(副作用ポリオ発症率)が自分の子どもだったらと考えると確率など何の気休めにもならない。そして、一部の親たちは予防接種を選択することでわが子を病気にした張本人になることを恐れるあまり、「何もしない」という、はるかにリスクの高い選択肢を選んだ。

船員たちは耳を蜜ロウでふさいでいたので、セイレーンに誘惑されず正しい選択ができた。わたちたちもオデュッセウスと同じように、自分の意思で、難しい選択を他人に委ねることができる。
この選択する権利をあえて放棄するというアイデアはおもしろい。

選択というプロセスは、ときにわたしたちを混乱させ、消耗させる。
不確実性の問題
→占いに頼る政治家は多いらしい

選択は人生を切りひらく力になる。
選択は本質的に芸術である。
選択の力を最大限に活用するには、その不確実性と矛盾を受け入れなくてはならない。

選択の科学

選択の科学