全ての子どもの親に想像力を与える

大学病院一階の自動販売機コーナーでバスの時間までをつぶしていた。私一人しかいない。

そこへ入院患者らしき親子がおしゃべりしながらやってきた。子どもは我が息子のKくんと同じ五歳くらいか。男の子。パジャマ姿に点滴スタンドを押している。テルモ製の機械。そして、髪が抜けていて少ない。髪の色が白い。

「こんなものあったんだと」とニッスイの冷凍食品の自販機を見て楽しそうだ。

お母さんが、今日はたこ焼きと焼おにぎり買おうか、というと「たこ焼きいらない」。

焼おにぎりが温まるには数分かかる。お母さんはケータイのカメラでその自販機をバックに男の子を撮影していた。男の子はピースなどして。

こちらに背を向けていたのでお母さんの表情はわからない。お母さんはどんな気持ちでニッスイの自販機前で息子の写真を撮っていたんだろう?男の子はどんな病気で、どんな治療を受けているんだろう?焼おにぎりはおいしかっただろうか?