合理的に考える、とはどういうことか

ジョージ・エインズリー「誘惑される意志」の訳者解説から少子化対策を考えた - シリアルポップな日々
に対して、id:gnfさんからコメントをいただいた。

「合理的に考えると」ってところが全く納得できないです。「目先の損得で考えると」ぐらいだったらわかるんですが。

なるほど。
私は上記で2回「合理的に考えると」を使っています。
最初は、山形浩生氏の訳者解説からという形。つまり、合理的ということを言ったのは山形さんであり、私は深く考えずに納得したのでそのまま使ったのです。
現在の少子化傾向は、合理的に考えた結果ではないんじゃないか、という反論は検討する余地がありそうですね。
次に使ったのは、山本弘「アイの世界」では、という限定で使ったんですが、こちらはたぶん間違っていません。人類は合理的に考えた結果、少子化に向かったようです。

ということで「合理的に考える」とはどういうことか、を考え始めて、、、止まりました。
ザウルスSL-C1000の辞書では、

合理的
道理に合い,むだのないようす。rational

とあります。

合理的に考えると、結婚・子作り・子育ては割に合わないのでどうしたって少子化になる

とはもっと説明すると、結婚は披露宴や新婚旅行など普通にやっていれば独身ではかからない費用数百万円がかかります。
子作りは、女性が妊娠するとそれを男性はサポートしますし、女性はそもそもお腹に赤ちゃんを抱えた不自由な数カ月を過ごす必要があります。ここでの出費も大きいところです。
また子育ては、一般的に子ども一人を育てるのに何千万円かかるとか言われるくらいです。
つまり、結婚せず・子どもも持たず・子育てもしなければ、その分数千万円は貯蓄できるはずであり、老後はその資金で生活すれば安泰に死を迎えることができるのではないか、という程度の合理的なのかもしれません。
金銭面だけを考えて合理的にという言い方をしてるんじゃないかと。
精神面のプラスとマイナスを考えると、定量的に把握するのが難しいのでなんとも言えませんが、結婚・子作り・子育てにはプラスもマイナスもあります。
独身・子どもなしでは、やはりプラスもマイナスもあるでしょう。
この点では、合理的に考えるとどうなるのかわかりません。
つまり、合理的に考えたからと言って少子化にならないんじゃないかってことですね。
合理的に考えた結果、結婚・子作り・子育てをする人もいるんじゃないか、、、

ちょっと難しいところに踏み込んでしまったのでこの辺で投げることとする。

▼追記2009/8/30
「合理的」というキーワードでこの記事に来られる方が多いので補足。
辞書で「道理に合い」という定義がありましたが、しかし、そうなると「道理」をどう定義づけるかで、「合理的」も人によって変わってきますよね。
自民党民主党の「道理」は違うでしょうし、党員内でも「道理」が違う。
いや、「道理」とはある程度の社会的合意が得られたものだ、ということもあるでしょうが、しかし、現代において「社会的合意」が得られた考えというのは、たとえば「道徳」などもかなり揺らいでいるので、つまり「合理的」というのもなかなか難しいところです。