孤独のレッスン

  • 1993年〜1994年 自宅浪人→代ゼミ

僕にとってこの2年間は「孤独のレッスン」期間だったと思う。
2年間、自ら積極的に友人・知人に交わることなく、一人でいる状態を選択していた。
とはいえ、友人の誘いを断ったりはしなかった。来るなら来い、という姿勢。
そういう2年間を過ごして、僕は一人でいることが平気になった。
1995年大学に入学後、一人でいることが平気な僕は、初め自ら積極的に友人・知人を作ろうとはしなかった。
でも、不思議なことに、一人で平気でいるとかえって他人が話しかけてきた。
僕は、心を閉ざしているわけではなかったので、そこで友人・知人ができるきっかけとなったというわけだ。

予備校の講義では最前列の真ん中に一人で陣取った。
大学に入ったら、最前列の左翼に一人座ることが多かった。
おそらく、変わっている人かまじめな人と思われただろう。
200〜300人クラスの大講義室での教養の講義でも僕は一人左翼最前列に座った。
当時、おばあちゃんから合格おめでとうでもらった小遣いで買ったドゥルーズガタリ千のプラトー」を持って講義を受けていた僕を後方の席から見た同じサークルの女の子から後日、
「宗教の人かと思った」
と言われたこともあった。
千のプラトー」が分厚いせいだ。
痩せて眼鏡をかけたルックスも災いしたと思う。

僕はいたってまともな自分だと思っていたが、時々、本当に変わった人が、同じ匂いを僕に感じて話しかけてきた。
そういう場合は残念ながら変わった人の期待に応えられず、意気投合することはなく、やがて本当に変わった人は去っていった。