子どもへの愛情〜プレーンソング

プレーンソング (中公文庫)

プレーンソング (中公文庫)

「よかった。いつも缶、二つ持ってるの」
「準備のいいやつだな」
「準備じゃなくて愛情よ。愛は形なの。えへ」

保坂和志「プレーンソング」には、個性的であることを目的としていない個性的なキャラクターが色々登場してくる。その中のよう子は特に変わっている。
ある一匹の猫をきっかけに近所の猫たちに餌を配って回るようになった頃の一コマ。餌の缶詰を猫が空けてしまった時にすかさずもう一つ取り出したところ。


子どもへの愛情も、猫の缶詰を二つ持っておくようなものだと思っています。
祈りという形の愛情もあるでしょうが、それは形にできない状況においての最後の手段かと。事情があって子どもに会うことができないとか。