孤独と音楽

lonesome

就職して最初の1年間だけ一人暮らしをした。
その時の日曜日の午後の孤独感や憂鬱は厳しかった。
ちょうど買ったCDが、ヴィンセント・ギャロだった。
“When”というそのアルバムの音は、静かで深い孤独の海の底に流れているような音だった。
しかし、その暗さがかえって救いになった。
気分が落ち込んでいる時に、無理に明るい曲を聴くとかえって死にたくなる。

音楽に浸るのは、アルコールに浸るよりはるかにましだ。

本当に落ち込んでいる時、悩んでいる時は音楽を聴く気にもならない。
プレーヤーを取り出して、再生することすら億劫になる。
そういう時は、すべての音が音楽になる。
雨の音。
遠くのテレビの音。
孤独な時は、自分の内面に注意するのではなく、外側の世界に注意を向けた方がいい。
音はその要素の一つだ。
孤独じゃない、あるいは孤独でもいい、という境地が理想だ。

最近は、ノイズミュージックと言われるようなCDを車に置いている。
一人で運転する時など、そのノイズを聴くと、心が落ち着く。
孤独にぴったりだ。
CDはそれなりに持っているので、あまり聴いていないCDを車に載せておくといいかもしれない。
少々長生きしても、死ぬまでに十分な音楽はそろっている。

When [解説・歌詞対訳付き国内盤] (BRC45)

When [解説・歌詞対訳付き国内盤] (BRC45)