野中郁次郎さんの『知的機動力の本質』を読んだ。アメリカ海兵隊について書かれた本。学ぶことが多い。たくさん読書メモを作った。メモはポメラDM200 で。それを Evernote にアップして、自分の仕事などにも活かす。メモを再読して自分が使える知識としてインストールする。組織として海兵隊は参考になる。
本書の第2部は海兵隊のドクトリンである『ウォーファイティング』の翻訳となっている。これだけで一冊の本にしてもいいくらいだと思った。
本書で描かれる海兵隊を見ると、旧日本軍が太平洋戦争で負けたのも必然のように思える。
旧日本軍にも優秀な人材はいたが、それが個性、点にとどまり、組織として継続的な線にならなかった。継続性をもたらす仕組み、システムはなかった。そこがアメリカ海兵隊との違いではないか。今の日本の組織も、そんなもんだろう。
かつて余裕があった時代、日本式のメンバーシップ型雇用において、各社員は自分なりのやり方で工夫をして、イノベーションを生みだしていた。それが、昔は良かった頃の日本だろう。しかし、現在では人員が削減されメンバーシップ型雇用において担当する業務は際限なく拡大し、個人の余裕は失われている。だから、イノベーションがなかなか生まれないのだ。こうなるとジョブ型雇用のアメリカ社会の方が有利となる。そのように自分なりに認識している。
また、上が無理な目標を設定し、現場が「工夫」して不正に手を染めるパターンも未だに続いている。神戸製鋼や日産自動車の事例。
本書に戻る。
海兵隊出身のジェームズ・マティスは、トランプ政権で国防長官に就任している。他にも優秀な人材を多数輩出している。マティスを「狂犬」というイメージだけで語っている慶応大学の教授がいるが、そんな単純な思考ではない。そういえば、世界を代表する知性の一人だと思うが、ノーム・チョムスキーですら、マティスを軍の司令官というだけで批判的にコメントしていた。「ラジカルなイスラム恐怖症」と決めつけている。(『人類の未来 AI、経済、民主主義』)
これは脱線した話として、組織人として海兵隊及びその出身者からは学ぶことが多いと感じさせられる本だった。本書のメモを横目に見ながら、トランプ政権では、マティス国防長官の言動に最も注目している。
- 作者: 野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/05/08
- メディア: 単行本
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- 作者: ノーム・チョムスキー,レイ・カーツワイル,マーティン・ウルフ,ビャルケ・インゲルス,フリーマン・ダイソン
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2017/04/25
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