くらちのりこ×蓮花『ライフハック×養生』を読んだよ〜ドリンク剤よりゆっくり長く効く本

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photo by KenC1983

『ちょっと試してみませんか?ライフハック×養生〜「タスク管理の挫折」「習慣化できない」に悩む人も気持よく続けられる方法〜』を読んだよ。タイトルが長いのは電子書籍ならではか。

最初に断っておく必要があるのは、私は著者であるくらちのりこさん(以下、のりさん)や蓮花さんと一緒にファミリーマネジメントジャーナルを書いているメンバーであり、いわば身内なのでこの書評のようなものは当然甘い評価になっているという点である。その点を考慮しながら以下を読んでもらえると助かる。
fmj-jp.info

「養生」の考え方が「ライフハック」に活きる。たとえば次のような一文。

 このなかで「養生」が重要視しているのが「病気になる前の状態」=「未病」の状態のケアです。」155

これってそのまま仕事にでも応用できる。トラブルが発生する前の状態に対処することが重要という具合に。「養生」が身体をいたわるだけではない概念に広がっていく。そういう可能性がある。
そして、養生がすぐれているのは、そのペース。

 養生はじっくり、ゆっくりですが気になっていた不調がいつのまにか「気にならなくなる」タイプのものです。168

養生は焦らない。ゆっくりとカイゼンする。これは性急に成果を求めるライフハックとは対極にある気がする。元々ライフハックは、ちょっとしたコツのようなもので、ゆえにすぐに成果が現れるものだったと思う。それに対して養生はあくまでゆっくりと小さな変化を積み重ねて、自分の身体に新しい習慣をインストールすることを目指すわけだ。
ライフハックという言葉自体、もはやライフハック(笑)とか、ライフハックは死んだ、とか、死語扱いされているような気がするが、こうやって様々な概念を取り込んで、いわばライフハック2.0といった段階になっているんだと思う。

私自身が今当たり前のようにやっている習慣が、実は蓮花さんの教えということがある。たとえば冬場はヒートテックタイツを履くようになったこと。首を冷やさないために風呂上がりでもネックウォーマーを巻いて、靴下を履くようになったこと。

読んでいて、のりさんには『エッセンシャル思考』の影響があると感じた。本人にTwitterで聞いてみたら、やはり読んでいた。
蓮花さんのアドバイスを聞いて、生活に養生を取り入れることで、何もしない時間を作り、休むことを選ぶことで、

  • いますべきこと
  • いまじゃなくていいこと

の判断ができるようになり、真に必要なものごとにフォーカスできるようになったこと。まさしくエッセンシャル思考が実践されている。
自分が心から求めているものをはっきりさせるためにも養生は機能する。本当に自分が欲していれば、習慣化できるし、モチベーションだって外から持ってくる必要もない。
本書と『エッセンシャル思考』を併せて読むのはおすすめ。

雑誌『クウネル』に取り上げられる人が一見のんびりしていながら強い意志や覚悟を秘めているように、養生を取り入れ、誰かの価値観ではなく自分の価値観で活きることを決めたのりさんにも覚悟がある。

 この生き方は言い訳が出来ません。全部自分で決めたのだから、全部自分で責任を負います。誰のせいにも出来ませんから、忙しい日も大変な日もうれしい日もたのしい日も。545

他人の価値観、社会の価値観で生きるのは実は楽なんだよね。しかし、その生き方で不調になれば、思い切ってそこから飛び出すといい。とはいっても急激な「革命」を志向するのではなく、ゆっくりとした「養生」で大きな変化を起こす。そこがやはりポイントだと思う。
それにしても、易姓革命など、国家としては革命志向な中国で養生という思想があるのはおもしろい。

文章も読みやすく、Kindle版で300円なら買って読んでみて損は無いと思う。ライフハック×養生は、ちょっとしたドリンク剤より、ゆっくり長く効くはずなので。

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

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