アンドリュー・S・グローブ『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を読んでいたら、ナッジングという概念が出てきた。
おそらく、肘で小突く、というナッジと同じ意味だ。
nudge.
「個人あるいはミーティングを軽くつついて自分の思う方向に進ませようとする」試みだ。
自分は仕事において「ジャブ」を放つことを意識していて、このナッジングと接続した。
英語シソーラス辞書で見たら、nudge の項目に、jab とあった。
誰かに何か仕事を依頼するでもなく、電話をして話題にする。
それだけで、その相手は、そのことが気になるし、自分で考えて動くかもしれない。
上司にある知識を入れておけば、会議において、その上司がその知識を使ってくれるかもしれない。
官僚が大臣レクをすることで、その大臣が記者会見でその言葉や概念を使ってくれるほど、官僚にとってガッツポーズなことはないだろう。
そうやって、組織や仕事を回していく。
そこにはテコ作用が働いている。
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』ではテコ作用と訳されていたが、要するに最近流行りのレバレッジ効果だろう。
ナッジングをうまく使えば大きな仕事が回るのである。
それは、子育てにおいても、子どもに勉強をさせたいと思った時にも有効だ。
勉強しなさいと命令してもたぶん逆効果だ。
親にできることは、環境を与えるか、刺激を与えるか。
そこで、ジャブ、あるいはナッジングを意識するといい。
コーチングでも強すぎる。
ジャブぐらいの意識でちょうどいい。
ナッジングでも、ジャブでも、命令や指示じゃないので、相手が思い通りに動いてくれるかどうかは、相手次第だ。
期待はするが、うまく動いてくれなくても、ただのゼロだ。
マイナスではない。
動いてくれたらラッキーという感覚が大事だ。
そういう軽い気持ちでいると、すぐに結果を求めることもない。
それでも、ある瞬間に一気に物事が動いたりするのである。
それが気持ちいい。
そんなわけで、ナッジングやジャブを意識して仕事や子育てをするのは、本当におすすめである。