ハリエット・テイラーとの恋愛はやはり重要な気がする〜J・S・ミル『自由論』

ジョン・スチュアート・ミル『自由論』を読んだよ。
光文社古典新訳文庫 Kindle 版が安くなっていたので買った。
古典をこういう機会にどんどん読もう。

自分は、昭和50年1975年生まれで、生まれた時にすでに「自由」が与えられていた。恵まれているよね。でも、団塊ジュニア世代で受験競争は厳しく、就職も氷河期だった。それほど自由を謳歌できてもいない気もする。そこで、ミルの自由論。自由について、深く考えてみようと思う。

しかし、一番気になったのは、ハリエット・テイラーとの恋愛についてだ。本書の年譜では、まったく触れられていないが、それではまずいだろうというのが、ハリエットは人妻だった、ということだ。要するに、不倫。でも、していないらしい。プラトニックだったと。
現代2017年の日本で話題になっているのは、している不倫だと思う。しかし、プラトニックだったらいいのか?
ちなみに、夫の死後、ミルと再婚したハリエットだが、1858年に急死している。その翌年に本書『自由論』が出版されている。
そういう流れを踏まえて、

結婚は、きわめて重たくて複雑な問題であり、ここでついでに論じるようなものではない。2491

という一文を読むと、趣き深い。
いや、そもそも冒頭から、

いまは亡き女性の、いとおしく懐かしい思い出のために本書を捧げる。31

とある。ハリエットのことだ。
恋愛の自由がある。しかし、社会的にはハリエットは結婚しており、夫がいる。ミルがハリエットと結婚したのは、夫が死んだ後だ。そういったミルのプライベートな状況を踏まえて『自由論』を読むと、様々な言葉がより力をもってくる。
思想家にとって、個人的な経験や人生はその思想に大きく影響してくる。ゲスの勘ぐり、ワイドショー的な関心も必要なのだ。

人が個人的な経験によって実感しないかぎり、その意味を十分には理解しえない真理というものがたくさんあるのだ。1018

ミルの個人的な経験としてハリエットとの恋愛は重要だと思うのだ。

ミルは、社会が個人に対して権力を行使することに対しての自由を論じている。
「多数派の専制」116 という言葉は、反安倍政権の人たちが喜びそうな言葉だ。

個人的には、ミル1806年生まれと、ニーチェ1844年生まれの関係なども気になるところだ。ニーチェは1859年に出版された『自由論』を読んだだろうか。そして、夏目漱石は1867年生まれ。ミルやニーチェは読んだだろうか。ちなみに、『西郷どん』こと西郷隆盛1828年生まれだ。さらにマルクスは1818年生まれ。19世紀に生まれた人物の多様性、これらの人物によって今2018年の世界のベースは作られている感じがする。

Kindle で複数箇所をハイライトしているので、その箇所を中心にじっくり再読して、深く考えてみようと思う。

自由論 (光文社古典新訳文庫)

自由論 (光文社古典新訳文庫)