ウイルスはおもしろい〜好奇心という人類最強の武器

山内一也さんの『ウイルスの意味論』を読んだ。
やっぱりウイルスはおもしろい。
病気の原因となり、おおくの人を殺したりもするが、おもしろいのである。
この好奇心が、ウイルスのような強敵に対抗する人類の強力な武器なのだ。
思い出すのは『進撃の巨人』である。
特に、ハンジ・ゾエ。
彼の(彼女の?)好奇心が、巨人に対抗できる最強の武器なのだ。
エルヴィン・スミスの狂った情熱も子どもの頃の好奇心が出発点だったではないか。
そして、グリシャ・イェーガーの悲劇の始まりも好奇心だった。
好奇心は猫を殺し、人も死ぬが、それによって人類は巨人やウイルスに対抗するのである。

本書を読むと、ウイルスが必ずしも人類の敵とは限らない視点が手に入る。
ここも進撃の巨人っぽいな。
そして、著者の人間中心主義じゃない書きぶりがおもしろい。
まったく非人情である*1
科学者に多いタイプかもしれない。
ハンジ・ゾエもそんなタイプだ。
たとえば、次の文章とか、くすりと笑える。

20世紀後半、ウイルスは30億年にわたるその生命史上初めて、激動の環境に直面することになった。現代社会を生き抜くウイルスの姿の一端を眺めてみたい。

ウイルスが、人類に翻弄されて苦労している姿が目に浮かぶ。
ウイルスはつらいよ。

ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在

ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在

*1:暇な人はこのブログを「非人情」で検索してみてね