参議院本会議で、大学改革支援・学位授与機構の田中弥生さんを会計検査院検査官に充てる人事案が承認された。
さて、この田中弥生さんは、大学改革支援・学位授与機構に所属しながら、どちらかというと財務省に親和的で国立大学法人に対して批判的な考えの持ち主です。
昨年2018年の「秋のレビュー」においても、国立大学法人を批判する先頭に立たれていました。
2018年5月10日には、財務省において「高等教育行政の現状と課題」というタイトルで講義されています。
この資料はオープンになっていますので、読んでみると、新しい検査官がどのような考えをお持ちかわかるでしょう。
問題意識として、
- 現状のままで、高等教育の負担軽減を拡充すると、高等教育セクターの質の低下を招く可能性がある。
- また、現状のままで「高等教育の負担軽減」を導入した場合、格差是正につながるとは言い難い。
- 高等教育と制度の現状に鑑みれば、将来的な所得獲得に必要な知識や能力を身に着けるための教育の質を保証できているとは言い難い。
- したがって、まず必要なのは、高等教育セクターの質を向上するための大学および制度の改革である。
と挙げられています。
これは、まさしく財務省の高等教育無償化に対する批判的なスタンスと一致しています。
一方で、「教育成果(教育のアウトカム)の測定は困難で、世界的に試行錯誤が続いている。」とのリアルな見識も書かれていて、参考になります。
教育の成果というのは、すぐに現れるものではなく、数年後、数十年後にわたって現れるものなので、測定は困難ですし、改善に活かすのも難しくなります。
また、田中弥生さんの主眼は、大学の評価が機能していない点にあるようですが、財務省は後半の「資源配分の現状と課題」を自らの理論的根拠として利用しているように思えます。
もちろん、田中弥生さんは、財務省の意に沿っているわけではなく、財務省が財務省に親和的な田中弥生さんの研究成果を利用しているのでしょう。
その田中弥生さんが、会計検査院の検査官になられます。
さて。
下記で動画を見ることができます。
田中弥生さんの肉声で考え方を知ることができます。
教科書的な所信表明でしたが。
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