キャンパスを歩いて回る〜邂逅一番

学生時代、よくキャンパスを歩いていた。そうすれば出会いがあると思っていた。犬も歩けばとかなんとか。実際、そう女の子に出会えるものではなかった。時々、すばらしい邂逅があったりしてそのために私はまた歩いた。ジーマなどはほとんどそうやって出会い、そうやって別れた。ボードレールみたいなもんだ。ストリートで出会った女性に恋をし、すれ違って二人は別れる、二度と出会うことはない。ところでジーマのことはちゃんと書いたことがあるだろうか。→こちらにある検索ボックスで「ジーマ」を検索していただきたい。お酒の名前からもらった。初めジーマの名前を知らなかったからだ。しばらくして学部が3つの小さい大学ということもあってジーマの名前がわかったのだが、それでもジーマの方がしっくりきた。ジーマに出会うために歩いていたようなものだが、ストーカーとは一線を画した。なにしろ小さいとはいえ大学のキャンパス内を闇雲に歩き回って邂逅に賭けるというやり方なのだ。ジーマに対してはそれ以上のアクションを起こすことはなかった。名前を初めとするジーマ情報も自ら求めたことは一度もなく、勝手に情報から飛び込んできた。アルコールが入った際にジーマの話を無邪気にしていたら一度、その場で聞いていた女性からドン引きされたので以降は気をつけることにした。ストーカーと誤解されたようだ。ここで弁解してもしょうがないのだがね。漱石の「草枕」みたいなものだ。非人情の恋。この辺、反射神経で文章を書いている。魂の文章術。具体的な女の子に恋をして、実際の恋愛に飛び込んでしまうと私はとんでもなく格好悪く、思い出すと恥ずかしくなることばかりだ。それはそれでいいんだけれどまだそこまで語る準備はできておらず、ジーマの話はプラトニックでいくらでも語ることができる。ジーマと私がよんでいた女性が結婚したという風の便りを聞いた。どーでもいい情報だった。