サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』~ガーデンズ文学カフェ

サリンジャーキャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んだよ。
たぶん3回目かな。
最初はたぶん十代後半の頃、野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』かな。
次は、村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』が出た2003年頃。
そして、今回。
今回は、ガーデンズ文学カフェという読書会イベントに参加するのをきっかけに、ペーパーバック版(新書サイズ)を買って読んだ。
おもしろかった。
ただ、十代に読んだ時ほどの熱狂は無かった。
十代に読んだ時に、実際、熱狂したかどうか、記憶は無い。
自分が気になったのは、ホールデンが狂っているかどうか、という点。
療養も、精神病院なのではないか。
そうなると、この作品の語り自体、信用できるのか。
まあ、ガーデンズ文学カフェでその話題になるかどうか、だな。
と思っていたら、いきなりその点の話題になった。
結論としては、ホールデンは精神病院にいる可能性が高いだろう、という読みになった。
ただ、サリンジャーはその点を明確に書いていない。
おそらく戦略的に曖昧な書き方をしているのではないか、ということだった。
さて、おそらく十代で読んで熱狂するような読者は、そんなことどうでもいいだろう。
そういう熱量は、アカデミズムの先生からは聞かれなかった。
それは仕方のないことだが、残念。
読書会のようなイベントでは、場を凍り付かせるくらいの過剰な人がいてもおもしろいのだが。
もちろん、大学の研究者だって、きっかけは何かに対する熱狂だったはず。
そうでないと文学を仕事にするなんてギャンブルはできないだろう。

ガーデンズ文学カフェに参加したのは久しぶりだった。
ブログを確認すると前回は7年前だった。
こうやってまったく知らない人と話をする機会に積極的に出かけている感じはいい。
時々、コンフォートゾーンから抜け出した方がいいのだ。
そこにクリック・モーメントがあるかもしれない。
何か得ることを目的として参加するのではなく、ふらっと自分の体一つで参加する感じで。

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)