普段あまり自分を語らないように感じられる森内俊之さんの貴重な本。率直な語り口が印象的でした。Kindle版にて。
落合博満
『羽生善治の思考』を読んでいて驚いたのが、両者とも、中日ドラゴンズ元監督の落合博満さんに言及していることです。落合監督の凄さを森内さんも羽生さんも感じているんですね。ちなみに羽生さんの本は紙の本で読んでメモはありません。Kindle Paperwhiteを使うようになってハイライト機能があまりに便利なため、紙の本で付箋をつけたり、ノートに抜き書きするようなことがとても億劫でできなくなっています。つまり、紙の本はひたすら読むだけになります。それはそれでいいんじゃないかと。
自分の限界を知った時に可能性が開ける
自分の特性を知って受け入れることができれば何かが動き始める、ということを森内さんは書いています。ユーミンが自分の限界を知った時に何とかと昔言っていたような気がします。森内さんは同期に羽生善治さんがいます。その羽生さんとの関係を自分なりにうまく処理することによって結果を残してきたと思います。過度に意識するわけでもなく、かといって無視もできない存在。その羽生さんに対して、自分の特性を理解し、受け入れる、つまり「明らかにして諦める」(小林弘幸さん)ことで成長してきたということだと思います。
プロであり続けるために
また奨励会で苦労した時も、プロになるだけでは意味が無い、プロとして活躍できる力を蓄えたいと考えています。これは最近私がこだわっている長期戦の姿勢を若いころから森内さんが身につけていたということでしょう。
そういうわけで、戦うごとに気分が変わるようでは未熟だと考えられています。大会の結果にそれほどこだわらないというプロゲーマーの梅原大吾さんも似たような考え方です。
タイトル戦に臨むときもあまり早くから準備をし過ぎると疲れる、ということです。そしてたとえば名人戦だからといって、特別な準備はしない。相手の研究に時間を費やす程度で、食べたい物を食べて睡眠を多くする。それくらいのようです。オリンピックだからといって特別な準備をしない方がいい。そんな気がします。
調子がいい時こそ挑戦すべき
そして調子がいい時期に新しいことに挑戦した方がいい。この点は、谷川浩司さんが『集中力』の中で、二十代にもっと変化が必要だったかも、と書かれています。
惜福。幸田露伴が『努力論』で言っている「惜福」もポイントかもしれません。福を使いきらずに惜しむこと。ラッキーを節約すること。そういうことができるだろうか。
変化は善だとは、ちきりんさんが梅原大吾さんに言及して言っていました。
徹底的に合理的であること
切羽詰まった状況で決断は必要無い、という考え方はなるほどと思いました。前もってきちんと準備さえしていれば合理的に答えを導き出せるはず。その準備を努力という。合理的な努力。それは山崎元さんが評価していた森内さんの合理性なんだろうと思います。
森内さん、竜王ご獲得おめでとうございます! - 評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
上で少し言及しましたが、そういえば日本シリーズで八回まで完全試合をやっていた投手山井大介を岩瀬仁紀に代えた落合博満監督(当時)も合理的な思考の持ち主ですよね。