辻田真佐憲『文部省の研究』を読む

辻田真佐憲『文部省の研究』を読了した。
文部省の歴史がこんなにおもしろいとは。

面従腹背

前川喜平さんの面従腹背も、三流官庁である文部省の伝統的でギリギリの戦い方なのかもしれない。
面従腹背の人の本も読んでみないといけないと思った。

日教組は嫌いだが

日教組は屑組織だと思っているが、フェアじゃないな。
日教組の研究といった本を読んでみないといけないと思った。
このパターン多い。
おもしろい本を読むと、そこから広がる。
調べることは山ほどある。

江崎玲於奈三浦朱門はひどい

江崎玲於奈さんの発言は、ノーベル賞受賞者でも専門外ではどうしようもない人がいる、という事例として興味深い。
また、三浦朱門さんも酷い。
この2名に代表されるエリート主義は、財務省の「選択と集中」戦略にも影響を与えていると思う。
財務省は、本音では地方国立大学なんか不要だと思っている。
旧帝国大学に予算を集中させればいいと考えている。
表立って主張しないところがいやらしい。
堂々と議論できないのだ。
予算編成の権力を利用して、真綿で首を絞めるように攻めてくる。
日本のトップエリートが、こんないやらしい戦い方しかできないのだから、日本という国家がいかにいやらしいか、わかる。
本当にくだらない。
と書いてきて、この辺りは感情が走りすぎたと思った。
事実に反する記述も多いかもしれないが、あえて残しておこう。
本気で批判するなら、江崎玲於奈さんや三浦朱門さんについても調べないといけない。
その発言は、議事録などがあれば追いかけることができるし、著作を読めば思想を理解できるだろう。
そこまでやって初めて誰かを真に批判できる。
今のままでは、ただ自分のポジションから思い込みで批判しているだけだ。
それはわかっている。
ただ、時間とエネルギーは有限なので、優先順位があるのだ。
自分が好きではない誰かを批判するために、その人について調べるというのはいかにももったいない。
トレードオフ
誰かの批判に乗っかるのが楽ではある。
それじゃあ、駄目だ。
わかってる、よくわかってる、でもできない。

改正教育基本法

「改正教育基本法」について、教育界では評判が悪いが、文面を見てもさほど激越な内容とはいえない、等、著者のバランス感覚を感じる。
だから、読んでいて不快にならないし、フラットな感情でおもしろく読むことができる。
右にも左にも偏っていないように見える。
まあ、若干、左寄りかな?
色々調べれば、著者のポジションも見えてくるだろうが、そうすると本書を読む時にバイアスがかかってしまうので、あえて事前に調べずに読んでみた。
それが良かった。
事実をきちんと押さえてあり、そこから自分で調べたらいい内容になっていた。
著者の価値観の押し付けも感じられず、江崎玲於奈に比べて真っ当だと感じた。
こういうバランス感覚のある人を有識者会議に呼んだ方がいいのではないか。
有識者会議って、いつも思うが、メンバーを選ぶのが一番の肝、そこが不透明なので会議の提言などは常に眉唾になるよね。
とにかく、改正教育基本法を読まないといけない。

理想の日本人像って必要?

本書に出てくる「理想の日本人像」というのが、わからない。
そんな理念が必要なのか、ピンと来ない。
だから、教育に関する議論について、右寄りだろうが左寄りだろうが、何言ってんだとしか思えないのだろう。
個人的な傾向としては共同体主義より普遍主義を支持する自覚がある。
もしかするとTwitterなどでは、ネトウヨ寄りだと思われているかもしれないが。
それは、左翼に対する失望感が大きいからだ。
この「左翼」あるいは「サヨク」という一般化も大きすぎる。
この辺りも丁寧に批判しないと本当はいけない。
しかし、上で書いたように、限界がある。
そのため、イメージでつい語ってしまうことにはなる。
敵について徹底的に調べる情熱は、どこから来るのだろうか?
自分にはよくわからない。
わからなくて、調べるつもりも無ければ、沈黙すべきなのだろうか?
素人意見では駄目なのか?
Twitter脊髄反射するのはよくないのか?
その辺りは、長年考えていること。

西国立志編

本書の内容から前後するが、中村正直西国立志編』も読まないといけないと思った。
福沢諭吉『学問のすゝめ』は読んだことがある。
スマイルズ『自助論』は読んだことある。
セルフヘルプだよね?

明治天皇

明治天皇が直接、教育に口出ししている感覚も、現在の皇室からは想像もつかない。
側近だった元田永孚も調べてみないといけない。
明治天皇と元田は、文部省にあからさまに介入した、というのだから、時代が違う。

教育勅語

いわゆる「教育勅語」は、1890年10月30日に発布された。
いまだに教育勅語が議論になるので、これもまた読む必要がある。
辻田によれば教育勅語に「神国日本や八紘一宇のような夜郎自大な発想」は見られないらしい。
この辺りも一部の保守派の言説を鵜呑みにしてはいけない。
自分で読んで、価値を判断する必要がある。
なんでも一次資料にあたることだ。

とりあえず投稿

2,000字を超えた。
長くなったのでとりあえずこの辺りで投稿する。
本を書いているわけではない。
ベータ版で公開すればいいのだ。
今、Kindleで読了した本書をあらためてスマホKindleにダウンロードして再読している。
再読はハイライトした箇所を中心にして、スターを付けながら読んでいる。
スターで絞り込めば、本書のエッセンスが抽出される。
読みながら、上記で書いたようなことを色々調べていく中で、また書くこともあるだろう。
新年早々、知的好奇心を刺激する良い読書になった。
ここから自分で調べて世界の厚みを増すことが勝負。