スマホ無しの魚釣り

魚釣りをする羽目になった。
羽目になった、というのは、私は魚釣りが好きではないからだ。
子どものためには、父親が魚釣りに連れ出すぐらいの方がいいのかもしれないが、どうしても魚釣りが好きになれない。
そんなこと、子どものために、ってやることか?
とはいえ、今回は、色んな事情から魚釣りに参加することになった。
海に浮かんだ筏の上での魚釣りである。
迎えの漁船が来るまで予定では6時間、四方を海に囲まれ逃げることはできない。
自由を失った壁の中で、魚を釣るしかない。
その状況に、あえてスマホを持たずに飛び込んだ。
ほぼ手ぶらで、文庫本すら持たない。
持っていったのは、シグノRT1とトラベラーズノートパスポートサイズのみ。
ペンとノートだけだ。
トラベラーズノートパスポートサイズのリフィルにシグノRT1のクリップを引っ掛けてカバーで包む。
それをジーパンの後ろポケットに突っ込むといい感じだった。
そのままアウトドアの活動ができる。
座ったりしても、トラベラーズノートの形が歪むぐらいだが、それがまた魅力となるはずだ。
最悪、自分が海に落ちることを想定すると、デジタルツールは持たない方がいいと判断したのだ。
しかし、実際、6時間はあっという間だった。
色々と試された。
色んなモノが不可抗力で海に落ちていった。
走り回るバカな子どもたちが海に落ちないように気を使わないといけない。
そして、バカな子どもの親ほど、自分の子どもから目を離すときている。
頼むから、自分の目の前で海に落ちないでくれ。
そう願って過ごした。
また、レンタルした釣り竿がバカだった。
リールを巻いても巻けないので、手動で巻き上げる必要があるという代物だ。
あるいは、自分がそのリールの使い方を理解できていないだけかもしれない。
もし次回、どうしても釣りをする羽目になったら、自分の釣り竿を買って持っていった方がましだと思った。
レンタルは気を遣う。
また、隣の釣り竿と釣り糸が絡まったのにも閉口した。
絡まった釣り糸を小一時間かけて解きほぐす作業は、神のような忍耐が求められた。
暇は意外と無かった。
トラベラーズノートに言葉を書いて思索する時間もほとんど無かった。
それでも、色々と試される一日だったので、考えたことはたくさんあった。
トラベラーズノートや厚口専科にメモしたり、Evernoteにまとめたり、そしてこうやって公表するブログにすることで、その思考を武器に変えることにした。
そうやって、魚釣りの経験を何かに変える。
肝心な釣果は、サバ1匹で、先日買ったコールマンのタイヤ付きクーラーボックスはでかすぎたようだ。
まあ、大は小を兼ねる。
鯖は寄生虫やらアレルゲンやら、色々と心配なので、妻に塩焼きにしてもらった。
美味だった。
釣ってすぐ、首を折るように言われて、鯖の首を折ったが、生き物を殺す、というのを手で感じた。
鯖の首を折るのは、鹿児島の習慣なのか?
いずれにせよ、普段は誰かにやってもらっている仕事を自分でやって、後でそれを食べた。
魚や動物の肉を食べるということはそういうことだ。
そんなこんなで、スマホを持たない不便さを感じる暇も無かった。
今後も、レジャーなど、スマホを持たずに色々やってみようと思っている。

トラベラーズノート パスポートサイズ 黒 15026006

トラベラーズノート パスポートサイズ 黒 15026006