仕事や家庭を壊さない程度の狂気の発明

「気持ち悪い」と気持ちよく晴れた休日の朝に言われてしまえば、絶望せざるを得ない。
絶望した私は、図書館に向かった。
車を運転しながら途中のヤマダ電機SDXCカードを買おうと思った。
そして、生活費を稼ぐ以上の価値を失った43歳のおっさんとしては、自力で情熱、熱狂、狂気を発明しないと生きていくことができないと思った。
仕事や家庭を壊さない程度の狂気が必要だ。
狂って候。
「胸だけもませろ」と言って逮捕されないように注意。
それは、仕事や家庭を壊す狂気だ。

図書館の窓際のカウンター席にポメラDM200を広げて、ふと手にした本を開いて、ひとしきり物思いにふけった。
何も解決しない。
狂気の発明。
ポール・オースターみたいだと思った。
オースターをよく読んでいた1994年、私は一人で狂気を発明するのが得意だった。
予備校を退学にならない程度の狂気だ。
朝から晩まで自習室に陣取り、時々、講義に出席した。
さらにしょっちゅう近くの川縁に歩いて出た。
たぶん太陽の光を求めていたと思う。
2浪もすると先が見えなくなるので、せめて自然の光が必要だった。
それで、まあ予備校の講義はおもしろかったので、成績は自然に上がった。
19歳だったその頃を思い出して、よく壊れなかったなあと感心する。
壊れなかったから今があるので、これは結果バイアスかもしれない。
outcomebias.
出たアウトカム。
うんざりするアウトカム。
そんなに大事かアウトカム。
アウトカム、つまり成果はあらかじめ設定できない。
スティーブ・ジョブズも、点と点がつながることを信じて進むしかない、ということを言っていた気がする(スタンフォード大学での有名なスピーチ)。

ちょうど『ブラック・スワン』下巻を読んでいて、大事なのはそれほど損しない小さな賭けをたくさんすればいいと思った。
そのうちどれかが大化けするかもしれない。
その不確実性に賭けるのだ。
『ジェリーインザメリィゴーラウンド』のミリが言うように、何かをしなくちゃ何も起こりっこないってことだ。
セレンディピティに賭けるのだ。
試しにスマホを持たずに、近所の公園にパンを持って行った。
そしてベンチに座って食べた。
ぼんやりと、思考する。
一応、トラベラーズノートのパスポートサイズを持っているが、メモしなくてもいい。
そういう試みにコストはほとんどかからない。
モレスキンカウボーイこと「モレカウ」のタカヤさんが、そういうことが得意そうだ。
ツイートとか見ていると「狂気の発明」の参考になる。
あるいはEvernoteで「偶然」タグなどをパラパラ見てもヒントがみつかるかもしれない。

子どもを寝かしつけるためにシャワーを浴びることができない。
残業するとそうなるよね。
深夜に頭が痒くて目が覚める。
シャワーを浴びる。
寒い。
こたつに入る。
妻は風邪で寝込んでいる。
そんな深夜に限って、ほぼ日5年手帳が見当たらない。
発狂して探す。
娘が私物と一緒に押し込んでいるのを発見するまで30分ほど。
アルコール飲むには時間が進みすぎた。
今飲めば翌朝に飲酒運転で捕まるだろう。
それは仕事や家庭を壊す狂気だ。
できることは、飲まずに音楽を聴くこと。
Gorillazのシングルコレクションが届いた。
ヘビーローテーションするのだ。
深夜に一人、踊る。
音楽は狂気を内側にストックする機能がある。
昔から自分はそれを活用してきた。

ザ・シングル・コレクション2001-2011(スペシャル・エディション)(DVD付)

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