『LIFE SHIFT』を読んだよ~人生において必要となる無数の実験と失敗

リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT』を読んだよ。政府の政策が、本書のシナリオを採用しており、リンダ・グラットンは政府の委員としてたびたび日本を訪れている。読まないわけにはいかない。官僚と政治家は必ず読んでおくべき本だろう。大学関係者だって、必須の書だ。

忙しい師走でも「日本語版への序文」を立ち読みするだけでも意味がある。

長寿化社会においては、無数の実験および失敗を経験することが重要になる。「生涯を通じて「変身」を続ける覚悟」が必要なのだ。変化を受けいれること。個人的には、ベーシック・インカム(以下、BI)の社会になると、実験しやすくなると思う。失敗しても、BI がセーフティネットになるからだ。本書では BI に触れられてはいない。

本書にぴったりなロールモデルとして、ライフネット生命から APU の学長へ転身された出口治明さんを思った。その身軽さ、学習する姿勢は参考になる。これからの APU には注目だ。

自分のことを考えても、42歳からでもエクスプローラーになることが求められるかもしれない。大学浪人時代が、エクスプローラーだった気がするが、もう一度、「40代半ばの時期」p234 にそれが必要となる可能性。たとえば、自己の再創造(リ・クリエーション)としてどこかの博士課程に進学したい気もする。そのシナリオを想像してみる。

インディペンデント・プロデューサーは、山崎元さんがよく言われる「山崎商店」という考え方に近いと思った。自分を独立した企業とみなすのだ。企業が複数の事業を手がけるように、個人も複数の仕事をやるようになればいい。
自分がフリースタイルで働くシナリオを想像してみる。
とにかくシナリオは複数描いておくといい。ここぞというタイミングで飛び込めるようにね。

60歳ぐらいになって、子どもたちの進学に目処がついたら、中古住宅を購入して75歳ぐらいまで15年ほど住むことを考えていたが、90歳ぐらいまで30年ぐらいを考えないといけないかもしれない。そうなると中古ではどうだろうか?そういったことも本書を読むと考えさせられる。個人が色々と自分の頭で考えなければいけないのが人生100年時代なのだ。

人生100年時代を考えると、パートナーとの関係がますます重要になる。自分としては、妻と長く連れ添っていきたい。もちろん、袂を分かつ選択をする夫婦がいてもいいと思う。しかし、私は「長期にわたって相手と深く関わろうとする意思」p322 を妻に対しては維持したい。コミュニケーションを諦めないことだ。

無形の資産に対する意識を高めようと思った。お金に関する勉強はここ数年、山崎元さんを中心にかなり進めてきた。来年2018年は、無形資産への投資も意識してみよう。
たとえば人的ネットワーク。だが、自分はウィークタイズでいいと考えている。濃密な人間関係は勘弁したい。たとえば、自分が失業したとして、意外と Twitter でのつながりが突破口になりそうな気もしている。
現代の先進国では、3ステージの人生で、子どもと大人と高齢者が隔離されている、という指摘が紹介されている。たとえば、大学キャンパスなどは、もっと子どもや高齢者が入ってきて、混ざり合うといいと思う。リカレント教育というのは、そういうことではないか。多世代が混ざり合うことの教育的効果があると思う。また、熊本市議会で強引に赤ちゃんを連れて出席しようとした議員がいたが、大学などではそれこそ赤ちゃんを連れて、講義やゼミに出席してもいいではないか。泣いたら、ちょっと席を外せばいい。他の学生がちょっと赤ちゃんを抱っこしてあげるとか、そうした経験の学習効果は高いだろう。もっとおおらかでいいではないか、という寛容さも重要になってくるだろう。キレる老人に居場所はなくなるのだ。

『LIFE SHIFT』は、自分の頭で考えることを求める本だった。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)