ルトガー・ブレグマン『隷属なき道』を読んだよ~ベーシックインカムは必然の道

真打ち登場。ルトガー・ブレグマン『隷属なき道』を読んだ。ずっと関心を持っているベーシックインカムについて、今の世界で最も有名な語り手だろう。ピケティからの世界の流れも感じる。

希望の党が公約にベーシックインカム(以下、BI)を記載した。思いつきのように見えるが、民進党出身者では個人的にベーシックインカムを主張している政治家はいる。少しずつ広がってきているのだ。

あらかじめ書いておくが、財源どうするの?という批判は飽きた。色んな研究が、財源については答えている。結局、納得できない批判者は、どんな答えを提示しても納得しないのだ。 いちいち相手にしていられない。
また、BI を与えるとパチンコに費やすのではないか、などという批判もずれている。その場合、パチンコを禁止すればいいのだ。
ブレグマンが言うように、世界各地で行われた研究により、BI のようなフリーマネーは機能することがすでに示されているのだ。

生活保護のような貧しい人々だけを支援するシステムは、社会に分断をもたらす。日本における生活保護叩きを見よ。社会保障システムの現状は、「疑念と屈辱のシステム」になっている。右派と左派の妥協の産物なのだ。機能しないのであれば、そんなもの、止めてしまえばいい。

もちろん、一気に BI を実現しなくていい。たとえばまずは給付付き税額控除や児童手当の拡大など、現実的な案から段階的に実行していけばいいのだ。そういった現実的な案を政策として提示している政党がある。BI に革命やリセットは要らない。

ニクソンがアメリカに BI を導入しようとしていたことは知らなかった。アメリカがその時点で BI 国家になっていたら、今とは世界が違っていただろうに。残念なことに、世界は50年遅れてしまったようだ。

財務省の頭のいい官僚たちは、国が豊かになれば教育や医療にお金をかけるべきだということに気づいていない。教師や医者への投資の増額を、恵みではなく災厄と見なしているのだ。投資ではなく、コストと考えているのだ。財務省が日本を滅ぼすといっていい。

BI によって、労働観も変わるだろう。給料を稼ぐ仕事だけが労働ではなくなる。NPO だって、ボランティアだって、PTA だって、やりがいのある重要な「労働」に変わる。
アメリカのシリコンバレーでは、先鋭的な人たちが、広告や金融が人類に対して、それほど価値をもたらさないことに気づき始めている。そして、自らの能力を、真に人類にとって価値がある事業に活かす方向へシフトし始めている。BI もその動きに呼応する。イーロン・マスクも未来において BI は必然だと予測している。
earthhack.info
問題は、いつ BI が導入されるかだけなのだ。

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

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