幸福論〜自己の超克としての


椎名林檎 - 幸福論

幸福論。ずっとそれを考えている。椎名林檎さんがデビューする前から。金持ちになるかどうか、関係無い。人生において、達成したいゴール・目的も無い。幸せを感じられるかどうか、ハッピーであるかどうか。それを考えて生きている。
最近読んだ相原孝夫さんの『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか』が幸福論の観点からも参考になった。
本書に記載があったのは、E・F・シューマッハーの思想で、簡単に書くと「自己中心主義から自らを解放することが労働の目的」というもの。Bullet Journal の測量野帳に抜き書きした。そして、思い出したのは、中沢新一さんと山田詠美さんの対談。読んだのは20歳前後、20年ほど前だろうか。たぶん椎名林檎さんより前。それを思い出すのだから、すごい。そこで中沢さんが言っていたのは、結婚の目的は自己中心主義を止めること、その修行みたいなもの、ということだった気がする。その本が手元に無いので正確には確認していない。確か『ファンダメンタルなふたり』。
つまり、労働も結婚も、自己(エゴ)をいかに消すか、がポイントとなる。魂の解放を目的とする、とかっこつけてもいいかもしれない。
労働によって、自己を明け渡すのは、本来、心地よいことなのだ。そういった労働観が必要ではないか。そういうことを相原さんの本から学んだ。
たとえば、私がずっと注目しているベーシックインカムという制度が導入されれば、上記のような労働観とマッチする気がする。本来、労働、自分以外の誰かのために働くことは楽しいことなのだ。たまたま読んだ中上健次さんの『枯木灘』冒頭もそういった労働の楽しみに満ちている。自分は、複雑な血筋や物語などには興味が無い。
さて、そういった時に、ティム・クックのスピーチ記事を読んだ。そこにあった言葉も、上記の労働観と接続した。

答えはとてもシンプルで「人の役に立つ」ということ。

人は自分を超える何かを目指して働く時、意義を見出すことができるんだよ。

クックは、最近、iPod nanoiPod shuffle の販売を止めると発表した。ジョブズと違って、音楽好きではない、という点はクックの困った点だが、この言葉は良いと思った。根が真面目なんだろう。

そして、ちょうど読み返していたデビッド・アレン『ストレスフリーの仕事術』に「時間が完全に消える無心な状態」68頁という言葉があった。いわゆるフロー状態。あるいは、明鏡止水、また羽生善治さんがよく使う言葉で「玲瓏」。こういう状態は、自己へのこだわり、執着から解放された状態とも言えそうだ。dive して問題そのものになる。そこにハッピーへの道がある。自己を放棄して、問題や課題へ没入して一体化すること。それが今のところの幸福論となる。

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