読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

小林忍『「経営の定石」の失敗学』は真に仕事に機能するビジネス書

小林忍さん『「経営の定石」の失敗学』を読了。真に今の自分に機能するビジネス書だった。ノートにたくさんメモをした。そのメモは、Evernoteに転記した。転記する過程で、自分でも考えながらコメントやキーワードを追加する。この作業を通じて、本書の機能する思考を自分にインストールする。インストールできた思考や知識じゃないと、実際の仕事の現場では使えない。

今の自分の仕事に照らして読むと色んな言葉が腑に落ちて入ってくる。
「問題先送り体質」「目くらましのコストダウン」「戦略の失敗は戦術では取り返せない」など。そういう言葉をインストールしておけば、仕事の現場においてその言葉を使って批判することができる。批判されても、やる、というのならそれでもいい。絶対的に正義を貫かなければならない、というほど融通がきかないわけではない。

インテリジェンス能力が重要だとよくわかった。自分の立場では、テクノクラートとしての技量を磨く必要がある。重要な打合せにおいては、ファシリテーション能力を発揮して目的を達成すべく、ボスを初めとして上の人間を動かす。
それを繰り返すことで、社内において色んな人の「リスト」に載る。リストに載れば、時に電話がかかってくる。参考に話を聞かせて、ということが増えるだろう。その時は、惜しみなく情報を提供する。そうすることで「返報性の原則」を発動させる。人脈ができる。いざという時、助けてもらえる。そうやって「草」を放ち、「インフォーマルな情報経路」を整備する。
インテリジェンスというキーワードでは、佐藤優さんの本なども勉強になるだろう。色んな著者の言葉を読むことで重層的な能力を培う。
圧倒的なインテリジェンス能力により構築した人脈は、いわゆる「人脈作り」のような方法ではない。

一度は正しいと思うこと、本当のことを発言する。それで怒られて、立場上やむを得ない場合に限り魂を売る。という教えは、多くのサラリーマンに機能すると思う。正しいことを主張して譲らない人は、問題や課題を解決することはできない。それだと当然、評価はされないだろう。サラリーマンであれば、魂を売る場面は必ずある。たとえば、ドラマ『CRISIS』を見ても、主人公たちが一度は正しいと思うことを実行しながら、最終的に魂を売る状況が幾度となくある。警察組織もサラリーマンだからだ。
しかし、小栗旬さんは話が進むごとに、魂を売るたびに、ダークサイドに近づいている気がする。『スター・ウォーズ』のアナキン・スカイウォーカーを見ているようだ。そう言えば小栗旬さん主演で似たような刑事ドラマが無かったか。『BORDER』だったか。その時は、小栗旬さんに特殊能力があった。その能力のせいでダークサイドに陥るドラマだった気がする。脚本が同じ金城一紀さんだったか。となれば、『CRISIS』もバッドエンドを想定しておいた方が良さそうだ。
しかし、現実の自分の仕事において、バッドエンドになるわけにはいかない。そこは、心が折れないように魂を売る必要がある。そのための処方箋は本書には書いていなかった。サラリーマンを辞める、脱サラというのも一つの方法だろうが、それは本書の範囲を超えている。

東芝日本郵政の巨額損失やライブドア上場廃止に関わった西室泰三さんは、平成における最大の無能経営者として、「経営の定石」の失敗学の活きた事例になる。無能なのに、なぜ東芝の社長になり、日本郵政の社長になったのか、というのは調べるとおもしろそうだ。

選択と集中」という言葉には、まずは眉に唾をつけて読む。そういった「経営の定石」をどの程度理解して使っているのか、よく読む。何かわかったつもりで使っていないか?基本的に、「選択と集中」そのものが正しいとか間違いということはない。要はやり方、その中身だろう。

しばらく経過して再読すれば、再発見もありそうな本だった。

「経営の定石」の失敗学 傾く企業の驚くべき共通点

「経営の定石」の失敗学 傾く企業の驚くべき共通点