『諦める力』を読んだよ〜エッセンシャル思考に通じる一冊

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photo by tpower1978

今回、為末大さんの『諦める力』を読むのと並行して小林弘幸さんの『自律神経を整える「あきらめる」健康法』を再読した。単純に「あきらめる」繋がりだったが、共鳴する点が多くておもしろかった。

どちらも「諦めて」成功した事例として、山中伸弥さんを挙げていた。しかし、山中さんは運良く成功したけれど。だから、山中さんをモデルにしてはいけない。あくまで例外事例だろう。

為末本、小林本どちらもKindle版で、今何%読んだかわかるので、両者のパーセントを合わせながら読んだ。そうすることで同じペースで読んで、同じタイミングで読了できる。ちょっとした試み。本の思考がシンクロするような感覚になった。

為末さんもエッセンシャル思考の人のようだ。並行して読んでいる本がどんどん繋がる。
諦めはトレードオフと関わる。エッセンシャル思考でもトレードオフの思考は重要だ。

戦略とは、トレードオフである。つまり、諦めとセットで考えるべきものだ。だめなものはだめ、無理なものは無理。そう認めたうえで、自分の強い部分をどのように生かして勝つかということを見極める。288

内容を覚える必要は無い。インストールされた知識、知恵しか使うことはできない。ただ、Kindleでハイライトした箇所を読み返すのは強化する意味があるだろう。

アスリートのやめ時とセカンドキャリアの問題は、スポーツ界の知られざる問題だ。413

清原和博さんなどを見てもわかる。あれだけのスターであってもセカンドキャリアは厳しい。清原さんなんて注目されるし、手を差し伸べてくれる誰かがいるだろうから、逮捕されても恵まれている。多くの無名のアマチュアアスリートは、引退後のセカンドキャリアにうまくいかなくて覚醒剤に手を出したりしたらそこでほぼ終わってしまう。

もっと言えば、僕という存在は、僕に今までさまざまな影響を与えたものの集合体であるという感じが抜けない。832

丸でドゥルーズ。この辺のセンスも為末さんは優れている。ただのメダリストとは違う。頭がいいんだろうね。「諦める」という言葉をキーワードにしたのは編集者かな?

だが、自分にとって本当に大事なことは何かということをひたすら考え続けていくことは心がけしだいでできる。1075

この記述もエッセンシャル思考だ。しかし、多くのアスリートは為末さんと違って、ひたすら考えることが嫌だったり苦手だったりするパターンが多いだろうと思う。つまり、この本は実は真に必要な現役アスリートの多くには届かないのだろう。おそらく読者も一般人を想定している。

 何でもかんでも手当たりしだいに手に入れることで、幸福が得られるわけではない。
 むしろ、ある段階がきたら「もうこれはいらない」と手放していくことで、幸福が近づいてくるのではないだろうか。1704

これなどは、ミニマリストや断捨離にも通じる。為末さんは、おそらくその手の本も読まれている。上に引用したように為末大は様々な読書の影響の集合体のようだ。
モノや人間関係を整理して、捨てて、少なく軽くしていくことで、選択肢が広がる。それは自由なのだ。

 僕の場合、モノを捨てることは、習慣というより儀式のようになっている。「本当に大事なものは何なのか?」ということを確認する機会なのだ。1872

色々な物事を「諦める」ことで自由や幸福に近付く。そのマインドセットをインストールするのに最適な一冊だと思った。

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