絶句風景と大竹伸朗が『既にそこにあるもの』で書いているのは、「どこへ行っても東京式の街並みに右へならえの強引な力」によって作られた金太郎飴のような日本の風景だろう。
僕はそのような一見美的ではないが、内側で奇妙に絡み合った絶句風景を前に感動を覚えることが多い。そしてそこに理解不可能な美しさを見る。それは僕にとって、どうしようもなくヘナヘナと美しいのだ。
思い出したのは、坂口安吾。似た感性だと思った。たぶん「日本文化私観」。どうするか。便利な時代になった。早速、Kindleで青空文庫版で無料の「日本文化私観」をダウンロードした。
そして、並行して『既にそこにあるもの』と「日本文化私観」を読んでいたら、大竹さん自身が「日本文化私観」に触れていた。以前、ここを読んだから大竹伸朗さんと「日本文化私観」が結びついていたのかもしれない。
僕は日本の地方の風景がどこに行っても似ていることが嫌いではない。そして、僕はどこの街へ行ってもスタバを見つけて安心する。
これは人でもそうだが、どんなに真似しようとしても完全にコピーすることはできない。どうしてもその人の個性がにじみ出てしまう。地方都市でも同じこと。どんなに東京の真似をしても真似しきれないところが出てくる。地方の個性なんてその程度で十分だと思う。
要するに、無理に東京の真似をする必要も無ければ、無理に地方の個性を追求する必要も無いのである。あなたがあなた自身の生活を行えば、自然とにじみ出る何かがある。それを個性と言うかどうかは他人の評価の問題であって、生活者自身はそんなこと気に病む必要は無いのである。
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