『リーガルハイ』スペシャルをようやく見たよ〜科学というグロテスクな希望

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photo by #EvilMitten

小ネタ満載の前半からクライマックスの重厚な医療と科学論争まで、役者の演技力によって素晴らしいドラマになっていました。ある意味、パロディ元ネタの『白い巨塔』以上の脚本だった気がします。もちろん後出しジャンケンの有利さはありますが。

科学というのは「グロテスクな希望」なんですよね。しかし、これは資本主義だって、民主主義だって、自由だって、アベノミクスだって、原子力発電だってそうです。希望だけれど、グロテスク。そういうわけで黒白はっきり色分けできる領域なんて21世紀に存在しないのでしょう。

我が家の二歳児は、古美門研介の唾飛ばしの真似をします。勘弁してください(笑)。これはしかし、志村けんのバカ殿並に堺雅人の古美門研介が素晴らしいということかもしれません。子どもに人気があるのは、本物でしょう。

個人的には自分の仕事に引きつけて、大森南朋さんが演じる弁護士がグッと来ました。まあ、当然ながら古美門研介みたいな仕事はできないので。

「たかりはたかりらしく俺のやり方で戦うか」
「こっちは孤立無援、弾も無い、ま、やるだけやるさ」

思わず台詞を測量野帳にメモしました。
人それぞれ、仕事のやり方、戦い方はあるんですよね。同僚や上司、部下、営業相手の「内在的論理」(佐藤優)を把握することは、その戦い方をリスペクトしつつ、知悉すること。敵を知り、己を知れば百戦危うからず、という孫子の兵法でしょう。古美門研介が凄いのは、大森南朋もリスペクトしているところ。

古谷一行の院長が、通天閣(俳優さんの名前を知らず、、、)さんのことを自分と正反対だから評価している、という点は、古美門研介が黛真知子(漢字合っているか?)を評価するのと同じでしょう。
これは自分も仕事をするうえで、自分と違う上司、同僚、部下をしっかり見て評価しないといけないと感じました。
通天閣さんも、『白い巨塔』の里見先生よりは幅が広いキャラだった気がします。

話はとびますが、たとえばワクチン推進派は、社会全体として考えてその利益を主張する。ワクチン反対派は、個別の副作用に苦しむ人達に寄り添っている。それで議論しても、このドラマと同じことになるでしょう。構造が少しわかった気がします。

一点、『日の名残り』好きの私としては、大森南朋さんには最後はそのまま立ち去って欲しかったところです。些事です。