「記憶の宮殿」はライフハックではない〜可能世界を作る

記憶力を底上げする「記憶の宮殿」の作り方 | Lifehacking.jp

ハンニバル」の「記憶の宮殿」エピソードは、僕の中にも強烈な印象を残しました。
学生時代に友人に借りて読んで以来、僕も「記憶の宮殿」について時々考えて、建築してきました。
しかし、ハンニバルの「記憶の宮殿」は、記憶術といったライフハック的な話ではなかった気がします。
もっと美学的な、、、
だから、テクニックとして紹介してある上記記事はちょっと違うな、と感じたわけです。

僕の「記憶の宮殿」は「可能世界」です。
静的な建物ではなく、動的な新世界と言っていいでしょう。
そこには歴史が、時間の流れがあります。

寝付けない時などは、よく可能世界について考えています。
好きに自由に設定可能な世界のはずですが、僕がリアリティを重視するせいか、ルックスがかっこよくなったりはしません。
サッカー日本代表に選ばれたりもしません。
あの日あの時あの場所で現実とは別の選択肢を選んだらどうなっただろう、という可能世界が多いですね。

可能世界については下記も参照↓
恋愛について〜可能世界 - シリアルポップな日々


〜でもありえた、〜でもありえた、でも現実の僕は〜だ。
という言い方があります。
ここでは一般に最後の「現実の僕」という厳しさが強調されるわけですが、可能世界では「現実の僕」はさほど重視しません。
並行する無数のlife*1の一つとして「現実の僕」があるというだけです。

  • 個人のlifeで「進化論」


保坂和志が、あるエッセイでゆらゆら帝国を評していました。
ロックがビートルズなどによって進化する以前にまで遡って、ペラペラの音のまま発展させたらどういうロックになったか?
というのがゆらゆら帝国なんじゃないか、「あったかもしれない可能性」を体現しているものとして、もしかしたらゆらゆら帝国はすごいバンドかもしれない。
という書き方でした。
ここで保坂さんは、ゆらゆら帝国を初めて聴いているので、この感想はすごいと思います。
で、僕の可能世界も「あったかもしれない可能性」にこだわっているわけです。

paperback-SWITCH SPECIAL ISSUE Spring 2001 Vol.1

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2008-09-23 - 空中キャンプ
↑ここでのid:zoot32さんの感じはよくわかります。
その気持ちへの処方箋として「可能世界」はいかがでしょうか。
いや、もしかしたらzoot32さんは、癒されたいと思っていないかもしれない。
余計な世話かもしれません。


ちょうど上の言葉を書いている時のNW-HD2からのBGMが、渚にて、でした。
この美しい世界は、「可能世界」の美しさでもあります。
眠られぬ夜には僕は可能世界を旅することにしています。
そのたびに別の可能性がlifeに加わりその世界は枝を広げていくわけです。

ちなみに↓この「可能世界論」とは全く関わりなく僕は考えています。
可能世界論 - Wikipedia

可能世界については、これからも考え続けるでしょう。
そしてそれはライフハックではなく、美学の領域になります。
しかし、英語ではartという便利な言葉がありますね。
日本語でアートと言えば、芸術といった意味が強い感じですが、artにはライフハックのような技術といった意味もありますよね?
ちょっと蛇足でした。

*1:生活とか人生という言葉ではちょっと違う感じ