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愛する者と一緒にいて別のことを考える


 ロラン・バルトが「愛する者と一緒にいて別のことを考える」という状況について実に美しい文章を書いている。(154頁)(松浦寿輝『散歩のあいまにこんなことを考えていた』)


 そのロラン・バルトの美しいという文章を読んだことはない。
 私は、いつも「愛する者と一緒にいて別のことを考える」男だった気がして、そのバルトを読んでみたいと思った。
 だから、私の恋愛はどれも今から思い返すと夢のようで、それらが現実に起こった出来事か自信がもてないのだ。


 上の空。
 つい目の前の現実ではなく、別のことを考えてしまう。
 目の前に存在している生身の人間ではなく、別の人を考えてしまう。
 ラジオ番組「あ、安部礼司」の安部礼司35歳も、そんな状態に陥っているようだ。